サービスのアイデアを考える時、たくさんある中からどれにするかはみんな悩むと思う。悩んだ時は情熱を基準に選べばよいと考えるしだいであります。ビジネスモデルやマーケットもとても重要だけど、当人の情熱とは比較できない。
感情的な部分と、論理的な理由でなぜそう思うようになったか書いてみる。最初に感情的な理由から。
よいサービスを作るのには労力も時間もかかる。情熱がないと、強力な競合が出てきた時や、周りが理解してくれない時、なかなか収益源が見つからない時に、やる気をなくして違う事に移ると思うのである。
お金が儲からないと食っていけないけど、逆にお金がなくなって日銭稼ぎに他の仕事をしたとしても辞めたくないものとか、今の仕事を続けながら作った貴重な時間でやりたいぐらいの情熱を持つものがよいと思う。どうせ軌道に乗るまで時間かかるし。
また、お金よりも自分の情熱をモチベーションにしたほうがやる気も生産性も全然違う。もし途中で辞める事が物理的にできない状況でも、モチベーションがなくなると生産性は極端に下がるから、どうせいいものはできない。
自分はグルーポン系サービスのアラートサービスを2010年の12月から2011年の3月まで作ってました。もちろん、当時はやる気モリモリで毎日開発していたのだけど、思い描いていたような機能を搭載している類似サービスが出現した時にぴたりとやる気がなくなってしまった。
今思えば、自分が死ぬほど欲しいサービスというよりも、これが流行りそうだから誰かが作る前に早く作ろうという気持ちが強かった。
最初は、なんかWebサービス作りたいけどなにかよいアイデアないかな考えていました。マッシュアップアワードのAPIリストを眺めて、流行りそうなサービスを思いついたから作ったという経緯。それもYipitという海外のサービスのパクリが始まり。まあ、アイデアをパクる事は問題ないのだけど。
思い返すと日本でも絶対こういうサービスが出るから、早く作ろうという焦りみたいな気持ちが強かった。似たようなアイデアで、もっと上手に作ってくる競合が出た時点で簡単に諦めちゃうというオチでした。
この時、次に作るサービスは絶対に自分が死ぬほど欲しいサービスを作ろうと思った。毎日そればっかり考えて時間とエネルギーを注ぎ込むから、競合が出てきても逆に自分の選択肢が増えて嬉しいぐらいの分野がいい。
というわけで、2011年の3月に次になにを作ろうか考えていた時の話をしてみる。
その時は、いわゆるスケールしそうなアイデアとか、自分が面白いと思ってスタートアップ的なウケもよさそうなものもいろいろ選択肢としてはそれなりにあったのだ。でも、最終的にiPhoneアプリという一見こじんまりしちゃうけど、情熱度が高いLisgoを作ることに決めたのです。
他のアイデアは面白そうだなぐらいのレベルだったけど、Lisgoのアイデアは、何が問題で、どこが不満で、代替手段をあれこれ試しているけど、こんなのとても面倒だという具体的な部分まで分かっていた。
冷静に何度も考えて、どのサービスが実現したら自分の生活が大きく変わって、毎日使うかとなると、これ作るしかないわとなって、iPhoneアプリ開発のためにMacを買ったのです。
というのも、僕は読書もオーディオブックも好きで、AudibleもKindleも結構初期から前から試していた。でも、オーディオブックは便利だけど、読んでいる途中に気になる箇所を目で確認できない。
本は目が疲れたり、物理的に目や手を使いたくない時にオーディオブックみたいに耳で聞く事に移行できないのが多いに不満だ。Kindleの読み上げ機能は一番ビジョンに近かったけど、オーディオブック業界に圧力かけられて、ほとんど使えない有様だった。
しょうがないから、Web記事をPCの読み上げソフトでMp3化したり、本を裁断して100冊以上自作オーディオブックを作ってiPodで聞いてたりした。でも、死ぬほど面倒だし、本を目で読みたい時に、今はどのページだっけと目で確認しないといけない。
何を言いたいかというと、他のサービスのアイデアは「ああ、いいの思いついた、あったら便利かもしれない。実際にこんなのあるか調べてみるか。」みたいなものだったのにたいして、Lisgoのアイデアはすでに自力で代替手段を試しまくっていて、本当に困っていた。
ちょっと話が飛ぶけど、自分が欲しいサービスの場合は凄く有利だ。自分の問題を解決するサービスになるので、自分が最初の熱心なユーザになれる。ここでは、自分がユーザだと問題が圧倒的に理解しやすいという当たり前の話はおいておいて、サービスの焦点の話をしたい。
他の人にも喜ばれるかや、自分以外の視点で考えるために顧客インタビューをしないといけないけど、この時に自分が欲しいものという軸がないと、どの意見を優先するか悩みまくると思う。
実のところ、ある程度ターゲットを絞ってもユーザが10人いたら10通りのニーズがあるから、それぞれ微妙に違うことを言う。Aさんにとって一番重要なことは、Bさんにとってはどうでもよかったりする。ニーズを絞ったつもりでも、さらに細分化されていく。この時、自分が望むものの軸がないと、どのユーザを優先するかの基準が見つけにくい。
一番お金が儲かりそうなユーザに絞るというのはよさそうな指標だけど、どれが最終的にスケールしそうか予測するのは不可能だし、前述した通り情熱がなくなると途中で諦める。
リーンスタートアップが普及して、ユーザの行動やニーズを観察しながらピボットするという考えが主流になってきている。ユーザの反応を見ながらサービスを作っていくと、毎日が細かいピボットの連続であると思います。どういう時にピボットするべきで、どういう時に諦めずに方針を貫くべきかはみんな悩むし、よくある質問だ。
これは、誰にもわからない。最終的に正否は結果で判断される。どうせ、自分で考えないといけない。
だから、情熱が継続して、ビジョンがあるものを作ったほうがいい。競合相手がいても、自分が凄く欲しいものだったら、なんらかの部分に不満がでて、そこが突破口にもなるし。
結局、世の中は不確実な事が多くて、どれだけ頑張っても様々な理由で上手くいかないことが多いと思う。その時の流行りとか、周りの意見はそこそこにして、自分が困っている事を解決できるようなものを作ればよいと思います。
※参考リンク
Before product-market fit, find passion-market fit
アラートポン