「ハートロッカー」を見てきた。ストーリーは淡々としていてなんでアカデミー作品賞を取れたのかよくわからなかったけど、軍オタとしては狙撃シーンが最高でした。ブラックホークダウンとか好きな人ならあれは楽しめる。そんなにネタバレはしない予定です。
この映画は突発的に見たくなったので、外が雨にもかかわらず頑張って映画館まで行ってきたわけです。で、作品を楽しむために道中では爆弾処理している時の心理状況とか想像したり、自分はいくらお金もらったら出来るかとか、映画監督ならどういうふうに撮影するかとか頭の中で想像していました。
脳内シミュレーションの結果、自分は爆弾処理とか数億円積まれてもちょっときついなという結論になった。余命数ヶ月ならまだしも、できるだけ長く生きていたいし、将来十分稼げるようになるかもしれんし、結構楽観的な性格なので未来はバラ色なわけです。
まあ、それでも爆弾処理をする人は必要なわけで、そういう人の哲学とか、「俺はこういう理由で爆弾処理するんだぜ」とか、そういった名ゼリフを自分が監督なら出したいなとか想像して道中の電車に揺られていました。
さて、映画を見たところ、主人公は普通に命知らずで特に爆弾処理をしている信念みたいなものもなく、爆弾のコードを切るのも淡々としている。よく小説とか映画とかである、「黄色か赤色、どっちを切ったらいいんだよ!ふぁっく!」みたいな発言もなく、主人公は淡々とコードをワイヤーとかで切っちゃうわけです。
なんだこれは。ちょっと想像と違っていたぞ。でも、それがリアルっていえばリアルなのかもしれない。しかし、爆弾処理シーンは特にドキドキしないけど、もっとドキドキするシーンが実はあった。
それはですね、爆弾処理に行くときや処理中に周りのイラク人達が一般市民なのか爆弾テロ犯なのか、もしくは爆弾の起爆スイッチを持って様子見している敵なのかさっぱりわからんところです。
この、周りのどいつが敵で、どいつが一般市民なのかわからず、さらに異国の言葉をべらべら喋っている。怖いから全員とりあえず撃ち殺しちゃいそうな米国兵の心理状況とオーバーラップする。ここは凄い。怖すぎる。
さらに、中盤の砂漠での敵との狙撃対決シーン。ここは軍オタなら要チェック。スコープごしに相手を狙っている時、相手も同時にこちらを狙っている。このドキドキ感。ここは映画館で見るとライフルの弾の音が大迫力なので価値ありでした。ここが一番燃えた。ここまではちょっと神映画かもしれない。
で、中盤以降、主人公含め、チームのみんなが精神的におかしくなってくるわけですが、ここらへんからちょっと映画がだれはじめる。
最初は主人公を威嚇していた黒人の同僚が「なんでお前はこんなの続けられんだよ?」とか半泣きで聞いていたんですが、主人公特に明確な返事なし。なんで続けるのか僕も知りたいです。理屈じゃないのかな。なんでだろう。。
さらに、自分が映画監督なら、爆風でどういうふうに周りの破片や石が飛んできて致命的な損傷を負うかを映像化するべきだと思った。爆発の瞬間のスローシーンはあるんですが、その後の破片が飛んでくるシーンを描いてほしかった。
もうちょっと爆弾処理班の給与水準とか、除隊後の生活保護とか、主人公が続ける理由とか掘り下げてほしかったなあとは思いつつ、まあ狙撃シーンが格好良かったからいいかと思い映画館を後にしました。
その後、映画館にiphoneをなくして大変だった。一番ドキドキした。