「君主論」を漫画から攻める


君主論 (岩波文庫)君主論 (まんがで読破)チェーザレ 破壊の創造者(1) (KCデラックス)

マキャベリの「君主論」は恐怖で支配するみたいなイメージで有名ですが、時代背景を考えて読むと面白かったりする。偏見なしで読むと意外といい本だと評判です。結構薄い本だけど、古典で古い本なのでいきなり読むと、なんかヒドい事が書かれていて特に興味が持てないみたいな状態になっちゃいそうな本であります。

でも、日本には漫画という世界に誇る素晴らしい文化があります。とっつきやすさという最大の武器を持った漫画から入ると、時代背景を楽しく理解できて、本編の君主論も断然読みやすくなる。理解もしやすい。

ということで、まずは「チェーザレ」っていう君主論のモデルになった人物の漫画がよくできていて面白い。今は7巻あたりまで出ているけど、中世ヨーロッパの勉強もできてお得。背景描写へのこだわりとかも巻末で書かれていて、凄い力が入っている漫画だなと関心します。

さらに、漫画で読破シリーズの「君主論」が最高にいい。漫画で読破シリーズは古典を漫画で読みやすく紹介するというシリーズです。これは当たりハズレが大きい。ハズレのものは小説を題材にしたものが多いけど、単純に漫画化してチープになっただけっていう展開がよくある。

それにひきかえ、「君主論」バージョンはいい。なにがいいかというと、君主論を漫画にしたわけじゃないというところ。単純に君主論を書くまでのマキャベリの歴史、時代背景を漫画にしている。ラストはこれからマキャベリが君主論を書き始めるところで終わる。なので、君主論を漫画にしたわけでなく、君主論を書いたマキャベリの半生から作者が影響を受けた事柄をざっくりと予習できます。

で、本編の「君主論」を読むと楽しさが違ってきます。特に漫画で読破シリーズの「君主論」は予習としてかなりいい。これを読む前に本編をいきなり読んだんですが、hmhmそうか、なんか当たり前のことのような気がするなっていうイメージだった。時代背景を少しでもつかむとだいぶ楽しい。

そもそも、君主論にのっているマキャベリの絵が完全に悪人そのもの。怖い。漫画で読破シリーズのマキャベリは顔も明らかに善人キャラ。ノンキャリアとしてのマキャベリが政治に奮闘する姿が熱い。

このように、とっつきやすい漫画から興味を持って本に移行するというのは最高に素晴らしいナイスアイデアだなあと常々思っていた。そしたら、下記のような本を見つけたので思わず注文してしまいました。
マンガで鍛える読書力