「民の見えざる手」が予想以上に面白い


民の見えざる手 デフレ不況時代の新・国富論
大前研一の新書をなんとなく読んでみたら、思った以上に面白かった。特に、アジアの新興国の最近のビジネス事情とかがよく分かる。これを読むと、韓国、中国など近隣諸国と日本の勢いの違いも分かるし、インドネシアとか急成長しそうな国のだいたいの知識もつく。

ちなみに、大前研一という人は、日本で一番有名な経営コンサルタントといってもよいぐらい伝説的な人です。マッキンゼーが日本に進出し始めた時に入社して、日本支社長、アジア太平洋地区会長まで務めたフリーザ様級のビジネスマン。

たまにはやる気が出る本でも読むかと思った人に最適。勉強する気が結構おきます。

■アジア圏の国に人材力で負ける日本

海外の一流大学で教鞭を執っている著者によると、10年前に比べて優秀な日本人はガクンと減ったらしい。ハーバードなどでも韓国人や中国人が目立ってきて、日本人はほんと元気がないとか。特に韓国人の勉強時間は半端ない。学校終わった後に平均6時間やるとか。。

日本の大学でも一番勉強しているのは留学生。さらに、台湾からやってきた留学生は基本的に英語、中国語、日本語が話せる人が普通で、4各語とか5各語話す留学生が珍しくない。これは、留学生と交流があるサークルに入っている友達も言ってた。

日本企業も新卒で日本人取るより、優秀な留学生を取らないとグローバル化する世界市場で生き残っていけないから、パナソニックとか日本人の採用枠を減らしているし。

まあ、こういう話はネット上でもよく話題になりますが、やっぱり本になるともっと実情を詳細に書いてある。例えば、国力は人口より人材力で決まる理屈とか、就職氷河期は不況が原因じゃないから終わらないとか。

特に面白いのが、ウェルマートなどの米国一流企業では軍人を積極的に採用しているという話。なんでも、不確実な戦場で部下を指揮した経験のある軍人は、ハーバードなどのMBAコースでビジネスを学んだ学生より人材市場では人気なのだとか。

不確実な事態に臨機応変に対処する経験とリーダーシップを戦場で経験している軍人には、後は小売り業のノウハウを教えるだけで優秀なビジネスマンになれるというのが理屈らしい。


■新興国、途上国の事情

この本の価値は、アジアやヨーロッパの新興国の現在の経済事情がおおざっぱにわかるというのが一番でかい。おそらく、数年後には賞味期限切れしているので、この本を読むなら少なくとも一年以内がよいと思う。

例えば、インドネシアは中国より魅力的なマーケットで、その原動力になった現在のユドヨノ政権の話とか。ウクライナのIT産業レベルとか、ルーマニアの事情とか、今まで知らなかった魅力的な新興国の話がたくさん。

特に、これから海外をまたにかける商社マンになりたい人は、中国語よりインドネシアとかロシアの言葉を習ったほうがよさそう。中国語ができてもライバルが多いけど、新興国の言葉が話せるといきなり現地に飛ばされて比較的大きなことを任されて出世コースに乗れる可能性が断然高い。

大学の友達で、インドネシア語を習って、この夏はインドネシアに数週間旅しに行ったS君の先見性をちょっと見直した。

■老後にそなえて趣味を増やせ

この本の最後には、個人はグッドライフを求めよというような事が書いてある。引退してから趣味が少ないと友達もできないし、頭も使わないし、つまらなくて孤独死してしまうよと。なんでもやるのに遅いことはないから、新しい趣味をドンドン作れといいこと書いています。

バリバリ働いていない分際で趣味のことばかり考えている自分ですが、今年はカートも始めたし、プログラミングの楽しさも分かったし、最近は和菓子の魅力にも気づいた。今年中には、定期的に運動したくなるようなものを一つ始めようと思います。候補としてはサッカー、フットサル、テニスといったところ。