昨日から、Ash MauryaのRunning leanを読み始めました。だいたい3分の1ほど読んだけど、期待してた通り素晴らしい内容。非常に具体的で、スタートアップが失敗しないためのノウハウが詰め込まれています。
スティーブブランクの本や、Eric RiesのLesson Leanedを読んで、リーンスタートアップのもっと具体的な実践例を知りたいと思っていた自分にぴったりの本です。内容をいくつか紹介するとともに、Lisgoで実際にどう当てはめるかも考えてみたいと思います。
ちなみに、リーンスタートアップはスタートアップの失敗事例を繰り返さないようにし、成功確率を上げる方法。なので、結局は個々の事例に当てはめて自分で考えないといけない部分は多いけれど、知らないと損な内容がたくさん。
前回「リーンスタートアップジャパン」の集まりに行ってきましたが、シリコンバレーではどのスタートアップも絶対に知っておかないといけない基礎知識になっているみたいです。
今回は、リーンスタートアップで最初にぶち当たる壁、「最初の顧客を見つける」部分に焦点を絞ります。さらに、自分が開発してる製品にどう当てはめたかの事例を書きます。
主にWeb系スタートアップ向けの本
Running LeanのAsh MauryaはWebの課金ベースの製品で、企業向け、消費者向け、フリーミアム、フリートライアルベースの製品について語ってます。Facebookのようなネットワーク効果を持つ製品へのリーンスタートアップの適用方法もあるけど、自らの経験を下にしてないので、この本で扱わないとのこと。
こう書いているけど、モバイルアプリにも通用する方法論がいっぱい。
製品開発ではなく顧客開発
製品開発ではなく、顧客開発するのがリーンスタートアップ。誰も欲しがらない製品を時間とお金をかけて作るのではなく、顧客が欲しいものを常に検証しながら、仮説→検証→学習を繰りかえす。
特に、テク系スタートアップでは、最低限の機能をつけたデモを素早く作ってリリースして、顧客の反応を見てアップデートを繰り返すというのが定説。でも、Mauryaは、これだけでは十分ではないと書いてます。
リーンスタートアップではデモ版さえもすぐには作らない。まず、自分の製品が今すぐお金払ってでもいいから欲しい顧客を探して、その人を見つけて話を聞いて、「こういうの作ったら買いたい?」って聞くところから始まります。
※Lisgoの場合
僕はWeb記事を読み上げるアプリが欲しくてたまらなかったので、他にも欲しい人がいるか確認する前に開発始めました。自分の欲しいアプリを作る場合でも、顧客の声を聞かない言い訳にはならないとMaurya師匠は言ってますが、ここも面白いので詳しいことはまた今度書きます。
最初の顧客は5人で十分
RunningLeanでは「まず、質で検証して、次に量で検証する」と繰り返されています。
まだ大勢の一般ユーザに届けるには十分ではない状態で、バズを狙ったり、広告宣伝でたくさんのユーザを引きつけるのはよくない。今すぐにでも自分の製品が欲しい人を見つけて、その人たちの意見を聞くことから始めるんだYO!と書かれています。
量で検証するのは、まず自分の製品が欲しい人がいるかどうか確認してからだ馬鹿者!と声を大にして説いています。
ちなみに、初期段階の製品開発のフィードバックでは、5人のユーザがいれば十分検証ができるという実験結果があるらしい。最近読んだ、スイカの開発段階も最初は5人のユーザにテストしてもらって質を重要視したと書いてました。
こんなリンクを見つけました。5ユーザでテストすれば十分な理由
初期段階で無料にするのは間違い
有料モデルを検討してるなら最初から有料で売れ!と書いてます。最初に無料で出して、製品がいいかんじになってから有料にするのは大きな間違いだと。
その理由は主に2つ。
1つ目は、無料にすればあまり製品をそこまで欲しくない人も使うので、本当に製品を必要としている人が誰かわからなくなり、どの人の声を聞けばいいのか分かりにくくなる。まずは、自分の製品が本当に欲しい人を見つけるのが重要なのに、それが難しくなると。
2つ目は、製品にお金を払ってもらう部分が最も難しい課題であり、この課題の検証に最初に取りかかったほうが成功確率が高まるからだそうです。
ちなみに、facebookみたいなネットワーク効果を狙う製品だとまた話は違うんだけどね!とも書かれてます。
※Lisgoの場合
なるほどと思い、Lisgoも最初から350円で売っています。しかし、リリースしてから2週間ほどたった現時点で買ってくれたのは35人ぐらいです。しかもその半分は友達ベースという、知り合いに保険を勧誘するおばちゃんモデル状態。
その中でも、製品に期待してくれる人はいるので、その人たちとどうやってコミュニケーションを取るかが今後の課題です。結局、周りの友達が使ってくれてたら直接聞くことができるけど、知り合いでもない人にわざわざメールやツイッターで意見をくれる親切な人はなかなかいないんですよね。
大抵の人は、「なんだこのアプリ、使い方がわからんファック」となってアプリ消去して、
わざわざどう使いにくいかを教えてくれる神はいません。Getsatisfactionをつけるかとか、気軽に要望を送れるようにどうすればよいか考え中。
ちなみに、有料から始めるといっても、フリートライアルというのは重要で、Lisgoは無料+アプリ内課金でアップグレード方式に変更する予定です。iPhoneアプリで期間限定のフリートライアルが出来たらいいのですが。
最初の顧客を見つけるのは難しい
でも、この最初の顧客を見つけるところが実際は想像以上に難しい。一ヶ月ほど前、僕にリーンスタートアップのイロハを最初に教えてくれた、StartupWeekendを運営しているリーさんもここを実際にどうやるかが一番最初の難しいところと言ってました。
基本としては、自分の製品が金払ってでも欲しいだろうユーザの仮説を立てて、そのターゲットを具体的に探しにいけるぐらいまで絞り込むところから始まる。
※Lisgoの例
LisgoはWeb記事を音声読み上げするアプリなので、まずはこんな感じで仮説を立てました。
1. RSS readerで記事をよく読んでいる人
2. iPhoneで英語勉強している人(ある程度聞き取れる上級者)
3. 英語圏のAudioBook愛好者
まず1。
周りの友人、知人でRSSで情報収集している人に音声読み上げが欲しいか聞いたところ、「読んだほうが速いだろが」というご意見が多かった。しかし、AudioBookも普段から使っているコンサルの人は、「マジで欲しい!」という勇気が出る意見ももらえた。
Audiobookが日本では普及してないから、耳で聞くことは抵抗があるのかとこの時は思いました。最初にやったことは当然ながら、「周りの知り合いに聞く」という事。
次に2。
iPhoneで英語学習している人に関しては、日本に住んでいるからなのか、結構評判がよかったです。どうすればiPhoneで英語学習している先進的な人の意見を聞けるかと考えた結果、2ちゃんねるで「iPhoneで英語学習」というスレッドを発見。
勇気を出して、自ら開発していると宣言しながら、意見を聞いてみると、みんな親切にこんなのが欲しい、iDailyっていうアプリ参考にしろとか教えてくれ、一部の人は買ってくれた。RSS連携機能、単語ポップアップ検索がリクエストで多かったです。
ここでやった事は「ターゲットユーザが集まる掲示板で聞く」という事。しかし、この方法は、自分の製品の事ばかりずっと聞き続けられないので、継続的に続けられないのが欠点。
次に3。
英語圏のAudiobookユーザに聞く。これもAudiobookファンが集まる掲示板で直接意見を聞いてみた。掲示板で聞くというのは製品スパムとも取られるので、管理者に削除された場所もあるけど、ひとつの掲示板で、「他の人が興味あるかもしれないから、様子見よう」と管理者がそっとしておいてくれた。
幸いにも親切なおじいさんとかが返事くれて、一般のAudiobookユーザはWeb記事の読み上げにはあまり関心がないということが分かった。おそらく、Lisgoとか使いたい人は、ビジネス書とかライフハック系に興味があり、なおかつAudioBookも使っている人かな思い、もう少し具体的なユーザ像が見えてきました。
英語が聞けるコンサルタントの人達がドンピシャなのかもしれない。
最初の顧客を探す具体的な方法
ユーザのセグメントを具体的に絞るのは頭の中でできますが、実際に最初の顧客に自分の製品を知ってもらって、意見を聞くのは凄く難しい。
自分は、周りに聞く、掲示板で聞くといった方法を使いましたが、Ash Maurya師匠はブログを書くのがベストだと本に書いてます。具体的にどうすればよいかの一番の肝となる部分なので、googleグループのlean startupサークルとかでアイデアを聞いたり、いろいろと検討中です。 このへんの検証結果を次回のブログで書きたいと思います。
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