【書評】羽生善治・決断力


拷問読書

今週2冊目。累計78冊目。経営者や戦略コンサルといった人達にメチャクチャ人気のある羽生善治氏。将棋というゲームの戦略性や、それについての考え方にビジネスとの共通点モリモリなんだと思います。

ということで、アマゾンで「羽生善治」と検索し、もっとも評価が高かった本書を読んでみたら、読みやすくて面白い。人にも勧めやすい。将棋を知っていなくても読めるし、知っていればもっと楽しめる。

■勝負には周りからの信用が大切だ p45

プロの将棋は、公正に、対等の条件で戦われているわけではないらしい。そこには、周りからの期待や仲間に信用されることが大切。関係者から期待をかけられるとホームゲームを戦っているような気分で戦える。仲間に信用されるということは、そのまま相手に自分は強いと思われることとなる。

その時点で勝負への影響は計り知れないものになる。プロの将棋はどちらがいい手を打ったかより、99%はどちらがミスをしたかで決まるらしい。そのため、自分からの相手へのプレッシャー、周りからのプレッシャーが大きな意味を持ち、相手に「もうダメだ」といった気持ちを少しでも感じさせることが勝負において重要となるようです。

ここを読んでいて思い出したのが、漫画スラムダンクの話。優勝候補の山王高校戦で主人公のいる高校はリードを奪う。監督の安西先生は、このまま進めば、今は試合展開が面白いと思って自分たちを応援している観客もいずれ山王高校を応援する雰囲気になる。

それは、王者が負けてはならない、優勝候補がこんなとこでつまずいてはダメだという意識が観客にあるからだと説明し、そのプレッシャーに打ち勝たなければこの勝負には勝てないんだと選手に言い聞かせる。

ここはスラムダンクの話でもかなり好きな場面です。ようは、日頃から実力を磨き、周りからの信用を勝ち取ることが大切だということですな。

■深い集中力は、海に深く潜るステップと同じ p88

羽生氏が集中力を高める時は、スキンダイビングで海に潜る間隔と似ているらしい。ゆっくりと水圧に体を慣らしながら潜るように、集中力もだんだんと深める。そのステップを省略すると深い集中の域に到達できない。

段階をうまく踏むことができると、非常に深く集中できて、もうもとにもどれなくなるのでは?と恐怖するほど深い集中にまで行くこともあるそうな。

といっても、集中しろ!と言われてできるものではない。それに必要なのは、興味を持つ意識、打ち込める環境、頭の中で空白をつくることが必要らしい。

特に自分に必要だと感じたのは、3つめの頭の中で空白をつくる時間。とにかく、ぼんやりとする時間を意識的に作る必要があると最近感じでいる所存であります。頭の中をリセットする意味でも、自然が多いところで散歩というのがベストかと。ちなみに、1人で行くということが結構重要だったりします。



■近道思考で手にいれたものはメッキがはげやすい p153

羽生氏の勉強方法は初心者のころと変わらない。

・アイデアを思い浮かべる

・それがうまくいくか細かく調べる

・実践で実行する

・検証、反省する

この4つのプロセスを繰り返すことが力をつけるポイントであるけれど、今の時代は便利になり情報が溢れてしまっている。近道がたくさんあるらしい。でも、遠回りすると目標までの到達課程で思わぬ発見や出会いがあるという。

プロ同士、二、三人で一緒に研究したほうがある特定の局面が問題になったときなどは、はるかに早く理解できる。だからといって、全面的に頼ると自分の力として勝負の場では生かせない。基本は、自分の力で一から考え自分で結論を出すことが重要とのこと。

この本は読みやすいし、面白いのでお勧めです。