【書評】ジョゼ・モウリーニョ


拷問読書今週のノルマ2冊目。累計29冊目。その言動と実力により、サッカー界でもっとも注目されている監督、モウリーニョ本人公認の本。モウリーニョの友人であるジャーナリストが側から見たモウリーニョの記録を本にしたという形。



・以前から読みたくて期待していた本だったんですが、正直期待ハズレだった。

モウリーニョの生い立ちから詳細な人物像に迫るというような自伝本を期待していたけど、いきなり監督就任前から始まる。

さらに、モウリーニョがなぜあれほど一流選手達から信頼されるのかといった、コーチングに関する部分や、モチベーターとしての秘密に迫る部分もほとんどなし。。副題が「King of 監督」誕生ストーリーなのに、これじゃイカンですよ。。

・実際のところ、本書はアシスタントコーチからポルトの監督としてチャンピオンズリーグ優勝までの軌跡といった本。

本の大部分は、当時の監督をしていた試合の裏側などを淡々と書かれている感じで、サッカーに詳しくない人はまったく楽しめない内容。詳しい人でもポルトガルリーグ自体がマイナーなので、当時のレイリアやベンフィカ、ポルトといったチームの選手名を把握するほどのマニアは日本では少数派だと思う。

当時のチーム事情を知っていなくても楽しめる内容だったら無問題なんですが、困ったことに当時の試合の展開の解説とか、選手の起用理由などが大半。それについて淡々と書かれている部分が多いのでかなり眠くなってしまう。

僕はプレミアリーグとかは好きなのでよく見るんですが、当時のポルトだとマッカーシー、デコ、パウロ・フェレリラ、カルバーリョなど、のちのちビッグクラブに移籍した選手ぐらいしか分からず、特にその選手とモウリーニョとの逸話が書かれている部分が多いわけでもなし。

もし、これがチェルシー就任後の話も書かれていたら多少は面白い内容になっていたんだと思う。チェルシー時代だとレギュラー組から控え選手まで知っている選手が増えるし、その当時のフォーメーションの解説も当時を知っていると面白いはず。

残念ながらこの本はチェルシー監督就任で本が終わっている。チェルシー監督就任までの裏話も、アブラモビッチの豪華な船で話をしたとか新聞で読んだような内容がほとんどで特に目新しい部分もなし。ダメダ。。

・まあ、それでもモウリーニョとクラブの経営陣との政治的な話があるパートはそこそこ面白い。

この本を読むと、会長の方針と監督の方針が一致することの重要性が分かります。モウリーニョは会長に自分の指導方針をプレゼンして、自分の納得するやり方をさせてもらわないと仕事を引き受けない方針を貫いています。

ただ、クラブの会長やオーナーは結構コロコロ変わる。だから、前会長と監督の方針が合致してたとしても、会長が変わった瞬間からその監督は次期監督が決まるまでの代役になってしまうのがつらいところ。

不振のベンフィカを建て直して抜群の成績を残しながら、前会長が選挙で負けてしまったためにクラブを追われた経緯や、その当時のクラブ経営陣がいかにモウリーニョを辞めさせようと嫌がらせをする話などはなかなか面白いです。

・ビッグクラブではないレイリアを指揮した時

ベンフィカの監督を解雇されてから、モウリーニョは一時的にレイリアというチームの指揮をとります。ここで、モウリーニョは選手達に、「おそかれ早かれ俺はビッグクラブに行く。でも、このチームで見込みのある選手は一緒に連れて行く予定だ」といって選手のやる気を高めたらしい。

このへんのくだりとかはなかなか面白い。こういう、いかに選手のモチベーションを上げるか、といった具体的な部分をもっと掘り下げてほしかったしだいであります。