【書評】家族を悪徳営業マンから守る!「生命保険のカラクリ」


生命保険のカラクリ (文春新書)
生命保険のカラクリ (文春新書)
今回からタイトルをキャッチーにしてみることにしました。飽きたらやめるかもしれません。

ネットベースの生命保険会社を作った著者が、日本の歪んだ生命保険業界の体質を暴くといった内容。騙されて高い買い物をしてしまう家族を守るためと考えると、まあまあ役に立つ。興味がなければつまらない本。

素人が騙されてデカイ買い物をしてしまう金融商品として、不動産、保険、株および投資信託があると思います。これらはかなりデカイ買い物なくせに、感情に訴えやすいので親とかおばあちゃんがコロリと買っちゃいがち。

例えば、不動産だと「やっぱり自分の家がほしい」という感情がでかい。維持費とか、引っ越しできないリスクとか、災害時のリスクとかを考え得ると賃貸のほうがよい場合が圧倒的に多いのに30年ぐらい続く借金して買ったりしちゃう。

自分の場合、不動産、株、投資信託とかはなんとなくわかるけど、生命保険の仕組みはまったく分かってなかったわけです。分かるというのは、専門家じゃない限り手を出さないのが無難だなという程度です。しかし、保険関係は一般人にとってどこまで必要なのかというのがよく分からなかった。

ちなみに、現在の自分に当てはめると、お金がないし妻子もないので問答無用で必要ないわけですが。。まあ、とにかく今の自分にはまったく縁がないであろう保険分野。なにかの間違いで血迷った営業マンが保険商品を売りつけてくるという事態にそなえ、評判よさげなこの本を読んでみた。

乱暴に感想を言ってしまうと。。。

妻子がいるなら生命保険は意味がある。医療保険は日本という国の医療保険制度が手厚いのでほぼ必要なし。健康な場合お金が戻ってくるとか、ボーナスとかが出る保険は詐欺そのものであり、意味なし。自分の貯金が手数料取られて戻ってくるようなもの。

とにかく、保険商品はややこしい。東大、外資コンサルにつとめていた著者でさえ、紹介された時は内容が把握できなかったらしい。そんな複雑な保険商品をシンプルにわかりやすく分けてくれている。それは死亡、医療、貯金の3つ。

貯金の保険商品はまったくもって意味なしだと感じました。これは、保険というベールを使って高額な手数料を奪い取る悪徳金融商品であります。満期になると戻ってくる!とかいうやつ。もっと手数料が安いETFか、リスクの低い個人国債でも買ったほうがよい。

医療型も日本は国の保護が手厚いからあまり必要なさそう。法律で月の医療費は数万円までしか請求してはいけないとか決まっているらしい。会社勤めとか、公務員ならそっちの保護がいろいろとあるからなおさらいらない。

死亡型。これだけは妻子がいて、一家の稼ぎ手が死んだ時の貯蓄が足りない若い家庭には意味ありそう。将来に貯蓄できるであろうお金を担保するという意味で、時間を買う効果があり。ただし、ひたすらシンプルな掛け捨て型を。

どんな金融商品にも当てはまるかもしれないけど、シンプルなものが一番余計な手数料が潜んでなくてよい。複雑になったり、特典がつくほど悪徳商品の危険が高くなる。

ちなみに、わたくし、金融商品の9割は手数料をふんだくる悪徳商品だと思っておりますので、やや過激な物言いになっているのをご勘弁ください。

で、この本を読んで「さあ、悪徳セールスマンから家族や友人を理論武装して守るぞ!」と思ったとしても、そうは上手くいかないと思います。なぜかというと、結局、マンション購入の時の悪夢、「やっぱり自分の家がいいもん」の一言のように、感情で押し切られる可能性が大だからです。

「この本読んで!」と言って本を渡しても、こんなつまらなさそうなタイトルの本、よっぽど興味がないと誰も読みません。

そこで、感情に訴える一番有効な手を考えました。

「あの保険会社は、サブプライムローンで潰れた大手の系列だから、潰れちゃって不払いの可能性が高いよ!」

これです。これが一番キクはず!

と、本の知識が役にたったのか、たってないのか分からないオチになりました。