【NYタイムズ】なぜツイッターのウィリアムズCEOは退任したのか?


ニューヨークタイムズの10月30日の長文記事に、ツイッターのエバン・ウィリアムズがCEO職から退任して、製品開発に集中することになった経緯が載っていた。

これが凄く面白い。5ページにわたる長編記事で、無料会員登録しないと2ページ目以降は読めないのだけど、寝る時間なのに即行で登録して読み進めちゃうぐらい興味深かった。

エコノミストの動画インタビューでは、簡素なインターフェイスと機能のバランスについて語っていた部分が面白かったけど、それ意外はそこまで目新しい部分はなかったわけです。

でも、Facebookのザッカ-バーグ氏に比べ、あまり目立った言動はなかったウィリアムズ氏の人となりや考え方とかをここまで詳細に書いた文献は初めて読んだ。特に面白かった人物像の部分を紹介。超適当な直訳です。

ウィリアムズ氏の失敗

「明らかな失敗はもっと人を雇うべきだったこと。ここまで急激にでかくなるとは思わなかった。」ちょっと前までのオフィスは典型的なスタートアップ企業そのもの。大企業の社長が汚いソファーで待たされる。

テレビクルーがカギのかかってないドアから入って、勝手に従業員を撮影できたような状況だった。最近は正社員が300人になり、6割はエンジニア。ついにリクルーターを雇い、経理や広報などの企業に不可欠の人員も雇い始める

ツイッターはインフォメーションネットワークであり、ソーシャルツールではないとの見方。人々が効率的にコミュニケーションし、情報をリアルタイムに取得するツール。ウィリアムズ氏はツイッターを大人のからだをした小学生と表現。成熟しきってない。しかし、今は会社の野望を理解したチームを持っている。

ウィリアムズ氏の生い立ち

ネブラスカの田舎に生まれ、なじめなかった。兄弟は典型的なネブラスカボーイで、大学のフットボールスターであり、学生校友会のリーダー。父とハンティングにしょっちゅう出かけていた。自分にとっては居心地が悪い場所だった。

自分は何かを作る野望を持っていて、それが体制に反抗する力となった。反抗的ではなかったけど、それを自分のやり方で見せてやると思っていた。

ネブラスカ大学をドロップアウトして、地元の企業のためにWEBサイトを作ったり、ネブラスカフットボールのCDROMを作るビジネスを父の出資で立ち上げた。でも、フットボールファンはCDROMとか使わなかったので失敗。

熱狂的なワイアード紙などのファン。カリフォルニアを自分の企業家魂を生かす場所だと思い引っ越し。 オライリーメディアのマーケティングの仕事につく。

オライリーが言うには、ウィリアムズ氏はいつも物事をもっと違うやり方やもっとよいやり方でできるというアイデアを持っていて、欲求不満だった。少し態度に問題はあったが、いつもグッドスピリットを持っていた。

オライリーを7ヶ月で辞めてBloggerを作る

ウィリアムズ氏曰く、「人の下で働くのには向いてなかった」。ドットコムバブルの99年に、当時の彼女と二つ目の会社を企業。後に高校の友達のポールも参加。

Pyraという名付けられた会社はWEBベースのプロジェクトマネジメントサービスとして始まったが、後にブログ作成サービスとなる。のちのBlogger。バブルが始めて会社のお金がすっからかんに。5人の従業員に給料が払えないことを伝え、一人でやると語る。

しかし、6ヶ月後、追加機能に課金し収益化に成功。新しい従業員も雇うことができて、グーグルに買収されるまでになる。

会社で働いた従業員は、ウィリアムズ氏がストックオプションを付与しなかったから買収でもお金が入らなかった。ウィリアムズ氏が言うには、このグループはストックオプションをもらうほど会社で長く働いて無かったと。

当時を知る人が言うには、「ウィリアムズ氏は従業員思いのCEOではない。Blogger買収の時の仕打ちはひどいものだ。彼は社長というより、アイデアを形にする発明者タイプ。」

ウィリアムズ氏いわく「ビジネスで成功すると敵も多くなる。でも、経験から学んだことは、難しい時期はすべて一人でやろうとしてきたけど、一人の時はそれでよかった。でも、人と働くとそれは失敗の兆候となる。」その後、グーグルを2004年に辞めて、Odeoを友達と設立。

典型的なシリコンバレータイプではないウィリアムズ氏

コンピュータおたくっぽくはなく、そこそこ社交的で面白い人物であるウィリアムズ氏。人が多くなると寡黙になるタイプだが、友人によると、ひとたび話し始めると周りが聞き入るタイプだとか。フェイスブックが2008年に買収しようとした時は、会議では寡黙で、次の日には長い長いEメールで、なぜ独立した会社でいたいかを説明した。

・経営面を他の人に任せることについて

匿名希望の関係者によると、ウィリアムズ氏は念入りに物事を進めるのでそれが弱点にもなる。だから、新しいCEOの登場はよい兆候。ウィリアムズ氏はついにチームで上手く働く方法を見つけたのかもしれない。

ウィリアムズ氏いわく、「新しいCEOのディックは迅速で計画達成に集中できる。自分は物事を考えすぎて判断に時間がかかりすぎるのが弱点だ。」

大企業病を徹底的に避けようとするツイッター

ウィリアムズ氏自身、企業内のシステムになじめなかった経験を持つだけでに、ツイッターが大企業のような官僚組織になることに対しての危機意識は誰よりも強い。組織内の人間が強い絆を持てる上限の人数は150人といわれている。

最近ツイッターに入った従業員いわく、「これほど官僚主義を避けようとしている会社は見たことがない。」 会社のパソコンにログインすると同僚の写真と共に彼らの趣味などが見れるようになったりと絆を強くする仕掛けにあふれている。

ウィリアムズ氏が言うには、ツイッターのゴールは3つ。世界を変え、ビジネスを作り、楽しむこと。この三つが達成できないと成功したとは言えない。

感想

ツイッターが頻繁にダウンしていたのは、ウィリアムズ氏が性格と大いに関係があったわけですな。

大企業的な官僚主義体制が大嫌いみたいだから、出来る限り少人数の小さなチームでやろうとして人材を増やすのに非常に慎重になるのは自然な流れだと思う。でも、会社の成長規模があまりに早すぎて、そういうのは向いてないと思ってCEO職を譲ったと。

来年、日本語版が発売される「Facebook effect」によると、グーグルからfacebookに人材は流れているけれど、同時にfacebookからTwitterにも人材が流れていると書いてたなあ。

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