【書評】100万回生きたねこ


拷問読書

正直、「絵本好きなんですよ僕」とか言う人がいると、大人になって絵本好きアピールとはなにか違う狙いがあるに違いないと勘ぐっていたわけです。間違っていました。いい絵本は大人も子供も楽しめるし、むしろ大人になって読み返して初めてよさがわかるんだなとしみじみ反省であります。

この「100万回生きたねこ」は何回死んでも死なないネコの話。王様のネコになったり、ドロボウのネコになったりと、いろいろな人に飼われては死んでまた生き返る。何回も生き返るからなのか、まったく飼い主にも興味もなく(むしろ嫌い)、とにかく自分だけが好きなネコです。

そんな無敵状態で世の中に冷めた目線を持つネコも、初めて好きになる白いネコができる。自分だけが大好きだった不死身のネコも、初めて自分の子供が好きになり、白いネコが死んだときは初めて大泣きする。その後、不死身のネコはどうするか・・。といった話。

命は有限であるからこそ人生は面白いとか、自分大好き人間が初めて他人を本気で好きになる過程とか、いろいろな要素がちりばめられていて、大人になってからのほうが100万倍楽しめる。特に自分の場合は他の人よりもはるかに自分大好き人間で、一人でも結構楽しく生きていけるんじゃないかと常々思っている人格破綻者なので、ぐっとくるものがありました。

そういえば、実家でも「ハナちゃん」というネコを飼っていたけれど、いつも冷めた目つきで見られていた記憶がある。もしかしたらハナちゃんも不死身だったのかもしれない。

大人も楽しめるアニメといえば、ピクサーの映画が大好きなんですが、「カールおじさんの空飛ぶ家」を今度見に行こうと思う。