科学は大災害を予測できるか


科学は大災害を予測できるか
地球規模の伝染病とか、ハリケーンとか、隕石の衝突とか、金融危機など全世界がパニックになるような大災害を科学はどこまで防げるかという本。最新の科学の現状と限界がしれて面白い。

■科学は大災害を予測できません

結論からいうと、上記の事柄すべて科学では予想不可能らしい。少しの情報の違いがカオス的に大きな違いになり、予想できる範囲が未知数になるとか書いているけれど、まあ科学が万能でないのは誰もが分かっていること。

ただ、ここまで科学は大災害を予想できないとはっきりと書かれていると、なんとなく大変な事が地球規模で起こっても偉い人がいろいろ考えてるんじゃないか?みたいな、庶民的な考えが通用しないことがよくわかります。うーむ、怖い。

例えば、隕石の衝突はいずれ起こるけれど、いつ起こるかは分からない。もし発見できたとしても、1ヶ月前とか、一週間前とかになる可能性が高いとか。まあ、確率的には自動車事故で死ぬ方がよっぽど高いんですけどね。

■科学者は偉い

印象的なのは、著者の科学への愛がビシビシと伝わってくるところ。災害は予想できないけれど、その対策や予防処置には科学が力になる。作者いわく、「科学者は世界規模の災害を常に考え続けたんだから、政治家はもっとそれを生かせるように頑張れよ!」って言っています。

例えば、最近読み始めた「地球最後の日のための種子」は、世界中の作物の種子を集めて、作物に大災害が起こった時に備える科学者の話だけど、いつでも未来の事を真剣に考えて行動を促し始めるのは科学者なのだなあと実感。

自分の専門分野を研究していくうちに、「うーむ、ヤバイ。これはヤバイ。このヤバさにみんな気づいていない。それがもっとヤバイ」といった気持ちになるんだろうと思う。自分は知っているけど、周りが気づいていない部分を熱く伝えたくなるこの気持ちは誰でもよく分かる気持ちかも。

■でも、科学者でも意見が分かれまくる

問題は、科学者の意見が一致しないところ。温暖化問題でも、人間が原因だという人や、温暖化は地球の自然現象で人間の影響は少ないといういろいろな説がある。科学者たちの意見がバラバラだと、そりゃあ政治家の人もどう判断したらいいかわからない。

トンデモ学説だと思われていたものが、数年たって指示されたりするのはよくあること。多様性は大事だし、それでも重要な決断に科学者の意見が分かれまくっていると困る。悩ましい。

■科学への愛を感じる

著者は科学者の良心も信じている。科学の世界では論文が重要。でも、専門的な論文を審査できるのは、同じ専門分野の偉い人。例えば、論文を審査する人の研究していた課題が、たまたま審査中の論文に答えが載っていたりする。

この時、論文のアイデアをこっそりパクることもできる。こういうことが可能な科学界の問題を指摘していたのを「生物と無生物の間」という本でよく覚えている。

ただ、「科学は大災害を予測できるか」の作者は性善説派。そういうことはできるけど、科学者の大半は良心を持っているからそんなことしないと書いている。さらに、科学者は自らへの評判が命。評判を落とすようなリスクはとらないらしいです。