今週3冊目。累計91冊目。グロービス経営大学院が出しているロジカルシンキング本。難しそうな題名だけど、読んでみると想像以上にわかりやすかった。ロジカルシンキング系の本では「考える技術・核技術」という本を読んでいる途中だけど、こっちは今回の本よりかなり読みづらい。
アマゾンの評価では、「考える技術~」のほうが難しいが内容は濃いと書いてあったけど、順番としてはクリティカル・シンキングを先に読んだ方が自分の場合は圧倒的にわかりやすい気がした。似た系統の本で、「知的複眼思考法」も買っていながらまだ読んでないのですが、クリティカル・シンキングは「知的複眼~」も参考にしていると巻末に書いている。
■演繹法と帰納法
人が何かを説得する時、すべてのパターンは演繹法と帰納法の分けられるらしい。
「人間はいつか死ぬ」→「ウメは人間だ」→「だからウメはいつか死ぬ」
この、 A→B→C という論理展開が演繹法。
「ウメは早寝早起き」、「ウメは菜食主義だ」、「ウメは定期的に運動をする」
→「だからウメは健康オタクであろう」
このA、B、Cという情報から結論をイメージするのが帰納法。
本書では例としてあげられた文章の中から、どの箇所が演繹法で、どの箇所が帰納法を使って説明されているかなどを解説していてわかりやすい。説明したい内容によって、どちらの方法を使えば適切かも教えてくれる。
「考える技術・書く技術」では、どういう状況でどちらの方法を使えばよいかをもっともっと掘り下げて説明されていた。
こういった枠組みを知ると、何かの説明を聞いた時に、「ああ、この説明では演繹法だな、ここでは帰納法だな」とイメージすることができそう。それが、なんの役に立つかというと、何かを説明された時に、その人の説明が「なぜわかりやすいか」、あるいは「なぜわかりにくいか」を知る手がかりになると思う。
それよりもっと重要なのは、人に何かを説明したり説得する時に、どうすれば「あれ?なんかわかりにくいな」となることを防止して、「うんうん、なるほど。わかりやすくて説得力もある」と言われるような説明の枠組みを考える手助けになる。
説明が上手い人は天性のものだと一般的には考えられていると思うけど、このルールを少しでも知れば、なぜその人が上手いのかがよくわかるはず。その構造を意識すれば、自分のように「説明下手すぎ(笑)」とよく言われる人間も改善の希望があるわけです!
ちなみに、上記は説明する仕組みを構造化した話ですが、笑いを取る仕組みを初めて体系化、構造化して分析した本に「ウケル技術」という本がある。コンサルタントが説明する時に頭の中で方法論を構造化できているように、お笑い芸人は笑いを取る仕組みやパターンを頭の中で構造化できているらしいです。
松本人志やケンドーコバヤシが、「笑いを取るのはパターンさえ知っていて、その時の状況に応じて使い分ければ簡単」と言っていたのを思い出した。
この他にも因果関係の構造化や、思考の落とし穴など網羅的に解説されていて、ロジカルシンキング本の一冊目にはすごくよい本。
「別にMBAなんてたいそうなものに興味はないや」っていう人でも有益。「お前の説明は何いっているかわからん!」と言われる人や、説得したい相手がいるけど、どう説明すれば上手く伝えられるかに悩んでいる人は一読の価値ありです。