【書評】ハーバード流交渉術


拷問読書

大学で最も厳しいゼミの課題図書。このゼミの教授はコンサル出身の経済学専門で、授業も鬼のように厳しいけれど質も高いと評判であります。半期の授業だけどテストが5回もまんべんなくあって、学期末の追い込みが通用せず、常に授業を真剣に取り組まないとついていけないらしい。頭のいい授業の進め方だなあと関心しながらも、単位取るのきつそうだなあと思ってました。

自分のゼミとは関係ないけれど、このゼミの課題図書は厳選されてそうなので大阪行きの新幹線の中で読んでみた。だいたい3時間ぐらいで読める。

ただ、この本はひたすら論理的な交渉術を書いているので、実際にこの通りにしても「なんだこいつ、感じ悪い奴だな」と思われて、感情で動く相手に対して交渉決裂!となる可能性も高そうであります。

大手コンサル会社の日本支社社長が書いた「30才からの成長戦略」という本に書いてたことで、「論理思考の切れ味は抜群だけど、それだけでは説得できない。次に感情に訴える方法を極めたがこれだけでも足りない。最後は相手のためになりたいという気持ちを持つことにたどり着いた」と書いてた。この本はタイトルがアレですが、コンサルタントの悩みや苦悩が素直に書かれていて面白かった。

とはいっても、論理的な交渉方法というものは基礎知識として絶対に必要だと思うので、そういう意味でこの本は一度読むと人生全般に役立つかと。別にビジネスマンではなくても、人間関係は交渉の連続であったりするわけなので。

このハーバード流交渉術は相手に知られてはいけないものではなく、むしろ相手もこの本を読んでいたほうが交渉がスムーズにいくと書いてある。なぜかというと、お互いにとって有利な着地点を一緒に探すといった形式を取るかららしい。

内容はひたすら論理的な方式にそった交渉方法。相手を攻撃せず問題点を指摘するとか、議論に違いが出たら客観的事実に基づいて交渉を進めるとか、こういった方法を知っている人にはなじみのある内容かもしれません。

ただ、ハーバード大学の交渉学研究所の人が書いたというブランド力なのか、交渉系の本ではかなり上質な本な気がします。他の本をあまり読んだことないのでわからないけど。。おもしろいのは、交渉術の例示でイスラエルとアメリカなど実際の国際関係の交渉のまつわる例がふんだんに取り入れられているところ。

相手に協力をするとなにかしらの恩恵を将来に返してもらうことが期待されるのが普通。だけど、アメリカがイスラエルに援助すればするほどイスラエルの要求は高まるというジレンマなどが紹介されてておもしろい。

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