【Webサービス】本、漫画、写真集を表紙で選べるサイトのベータ版作った


「えらぶん」 http://erabun.com/

ベータ版でデザインもできてないけど、とりあえず公開。

■なんだこのサイトは?

本とか漫画とか雑誌とか写真集の表紙をランダムに三冊ずつ表示するサービス。
好きなジャンルと発売時期を細かく指定できる。

■こんな感じで使います

・三ヶ月以内に発売した少年コミックの表紙をフンフンと眺める
・今年発売した経済書をフムフムとチェックする
・去年発売したタレント写真集をムフムフと眺める

■コンセプト

とくにお目当てのモノがないけれど、棚に並んでいる本を適当に眺めてたら新しい本に出会えるようなサービスが作りたかった。

■今後の予定

・とりあえずデザインを整える
・カテゴリをもっと細かく指定できるように
・キーワード検索に対応できるように

このサイトに対する不満、小言などがあれば、ぜひツイッターで教えてください。
アカウントはumekun123。


【書評】「非才」 才能神話をひっくり返す本


非才!―あなたの子どもを勝者にする成功の科学

スポーツ選手とか、実業家の成功はどの程度が生まれ持った才能で、どの程度までが本人の努力だっていうのは個々人で意見が大きく分かれるところです。この本は、「才能の部分なんて一切ない」という、ある意味極端な論点にたった本。

似たような本で、グッドウェルの「天才」がありますが、「非才」のほうが断然面白いです。「天才」のほうはパラパラ読んで途中で読むのを止めてしまった。何が違うかというと、「非才」は細かい部分までの科学的な説明が多い。ちなみに、「その数学が戦略を決める」とか、面白い本ばっかり訳している山形さんの翻訳。

■相当量の練習で培ったパターン認識が重要

とにかく反復を繰り返すことによって、無意識にできるようになるのが重要らしい。脳みそを二階層に分けて、最初の階層を無意識のパターン認識で処理して、二階層目を実際に考えるようになるという説明が面白い。

例えば、史上最高のテニス選手と言われるフェデラーは反射神経が並外れていると考えるのが普通。でも、卓球の勝負になると、凡人程度の反射神経しか記録できなかったらしい。

なんでかというと、テニスの熟練者は相手の手や肩や肘の動き、体全体の動きなどからどこにサーブが飛んでくるかを認識する。つまり、様々なテニス特有の状況でのパターン認識の膨大な積み重ねと、自分の体が無意識に反応するまでの練習量が違いを分けるとか。

これは数学でも芸術分野でも一緒で、一見生まれ持ったセンスから産み出たようなものが、実は膨大な量の練習の結びつきで出来上がるというのをなかなかの説得力で展開されます。もちろん、質の高い練習の重要性も書かれている。

■では、なぜ100メートル走の上位入賞者は黒人ばかりなのか?

最高の環境で相当の練習を達成しても、ジャマイカ人に日本人が勝てるのは想像できない。このへんに対する著者の主張はやっぱりちょっと弱い。「黒人はなぜ足がはやいのか?」によると、黒人でも足の速いのは西アフリカに先祖を持つ人達で、特にジャマイカ人は足の速い遺伝子を持つ割合が多いと書かれていた。

この「非才」という本は、そのへんの事情も細かく書いているのがすごいのだけど、そもそもスポーツの成績における人種間の優劣は時代によってよく変わるという点を指摘していた。ジャマイカでは短距離走で成功するための土壌、インセンティブが他の国に比べて著しく高いという部分も書かれている。

また、長距離で東アフリカ系の選手が優秀なのは、遺伝子よりも高度の高い山々で、長距離を走って通学しなければいけない環境の大きさを主張している。

■なかなか元気づけられる本ではあります

才能だよと片付けられる部分を科学的に反論していて説得力がある本書。とは言っても、身長や容姿など、明らかに親の遺伝子を受け継ぎそうな事柄を考えると、すべてが努力で解消できるとはなかなか思えない。

でも、今まで才能3割、正しい努力7割ぐらいかなあと思っていたのが、才能1割、正しい努力9割ぐらいだろうかと考えが補正される本。なんというか、やる気が出る本でした。

ちなみに、類書の「天才」はたいして面白くない。「黒人はなぜ足が速いのか」もちょっと専門的な話が多すぎてつまらない。卓球選手としても一流だった作者の実体験もあり、「非才」が圧倒的にオススメ。


「民の見えざる手」が予想以上に面白い


民の見えざる手 デフレ不況時代の新・国富論
大前研一の新書をなんとなく読んでみたら、思った以上に面白かった。特に、アジアの新興国の最近のビジネス事情とかがよく分かる。これを読むと、韓国、中国など近隣諸国と日本の勢いの違いも分かるし、インドネシアとか急成長しそうな国のだいたいの知識もつく。

ちなみに、大前研一という人は、日本で一番有名な経営コンサルタントといってもよいぐらい伝説的な人です。マッキンゼーが日本に進出し始めた時に入社して、日本支社長、アジア太平洋地区会長まで務めたフリーザ様級のビジネスマン。

たまにはやる気が出る本でも読むかと思った人に最適。勉強する気が結構おきます。

■アジア圏の国に人材力で負ける日本

海外の一流大学で教鞭を執っている著者によると、10年前に比べて優秀な日本人はガクンと減ったらしい。ハーバードなどでも韓国人や中国人が目立ってきて、日本人はほんと元気がないとか。特に韓国人の勉強時間は半端ない。学校終わった後に平均6時間やるとか。。

日本の大学でも一番勉強しているのは留学生。さらに、台湾からやってきた留学生は基本的に英語、中国語、日本語が話せる人が普通で、4各語とか5各語話す留学生が珍しくない。これは、留学生と交流があるサークルに入っている友達も言ってた。

日本企業も新卒で日本人取るより、優秀な留学生を取らないとグローバル化する世界市場で生き残っていけないから、パナソニックとか日本人の採用枠を減らしているし。

まあ、こういう話はネット上でもよく話題になりますが、やっぱり本になるともっと実情を詳細に書いてある。例えば、国力は人口より人材力で決まる理屈とか、就職氷河期は不況が原因じゃないから終わらないとか。

特に面白いのが、ウェルマートなどの米国一流企業では軍人を積極的に採用しているという話。なんでも、不確実な戦場で部下を指揮した経験のある軍人は、ハーバードなどのMBAコースでビジネスを学んだ学生より人材市場では人気なのだとか。

不確実な事態に臨機応変に対処する経験とリーダーシップを戦場で経験している軍人には、後は小売り業のノウハウを教えるだけで優秀なビジネスマンになれるというのが理屈らしい。


■新興国、途上国の事情

この本の価値は、アジアやヨーロッパの新興国の現在の経済事情がおおざっぱにわかるというのが一番でかい。おそらく、数年後には賞味期限切れしているので、この本を読むなら少なくとも一年以内がよいと思う。

例えば、インドネシアは中国より魅力的なマーケットで、その原動力になった現在のユドヨノ政権の話とか。ウクライナのIT産業レベルとか、ルーマニアの事情とか、今まで知らなかった魅力的な新興国の話がたくさん。

特に、これから海外をまたにかける商社マンになりたい人は、中国語よりインドネシアとかロシアの言葉を習ったほうがよさそう。中国語ができてもライバルが多いけど、新興国の言葉が話せるといきなり現地に飛ばされて比較的大きなことを任されて出世コースに乗れる可能性が断然高い。

大学の友達で、インドネシア語を習って、この夏はインドネシアに数週間旅しに行ったS君の先見性をちょっと見直した。

■老後にそなえて趣味を増やせ

この本の最後には、個人はグッドライフを求めよというような事が書いてある。引退してから趣味が少ないと友達もできないし、頭も使わないし、つまらなくて孤独死してしまうよと。なんでもやるのに遅いことはないから、新しい趣味をドンドン作れといいこと書いています。

バリバリ働いていない分際で趣味のことばかり考えている自分ですが、今年はカートも始めたし、プログラミングの楽しさも分かったし、最近は和菓子の魅力にも気づいた。今年中には、定期的に運動したくなるようなものを一つ始めようと思います。候補としてはサッカー、フットサル、テニスといったところ。


「ネットバカ」は今年読んだ本でベスト


ネット・バカ インターネットがわたしたちの脳にしていること
今年読んだ中で、今のところ一番よかった本!今までの持っていた考えを揺さぶられた。タイトルも本の見た目も非常にしょぼくて、出版社に売る気はあるのかと問いただしたいけれど、中身は最高に濃い。

著者の「クラウド化する世界」はかなりよかったのでブログをチェックしてみたら、このブログもこれまた面白かった。「ネットバカ」の原題は「the shallows」なんですが、この本が発売されるまでずっと楽しみにして、英語版が出てほんの数ヶ月で訳本が出た。このスピード感は日本の出版社素晴らしい。

■道具が人間の脳にもたらす変化

グーグルなどで簡単に情報が取り出せるようになり、それによって失われてしまった人間の機能がこの本の主題。面白いのは、ネットだけでなく、今までの人類史において道具の発達がいかに人間の考え方や考える能力に影響してきたかを細かく検証している点。

例えば、時計の登場によって人間は今までより遙かに効率的に動くようになり、それと同時に時間にとらわれずに集中する能力も衰退してしまった。こういった、便利な道具が登場する時に生じる、見過ごされがちなトレードオフの関係を本書では詳細に検証しています。

「時計」、「本」、「インターネット」など、画期的に便利な道具の登場によって、人類の失われた能力がここまで説得力ある形で説明している本はなかったんじゃないかと。

■ネット世界におけるマルチタスクに慣れると注意散漫症候群になる?

現在のIT社会では、目の前の事への集中を邪魔するものであふれている。例えば、勉強していてもメールの返信が気になったり、携帯電話が鳴ったり、調べ物をネットで検索するとついついクリックしてしまうバナー広告や文字広告がわんさかある。さらには、twitterというリアルタイムに更新されるメディアも日本では大流行しています。

こうしたマルチタスクで作業することに慣れていると、それらをすべて遮断していても、ひとつの事に集中する能力は著しく衰えていると本書では指摘されています。自分は朝6時ぐらいに起きて、12時まで携帯も切って勉強に集中できる環境を作っているけど、結構注意散漫になっているのはこれが原因なんだろうか。

とにかく、効率的に速く仕事をこなすにはマルチタスクが欠かせない世の中。こういう時代だからこそ、いかに一つのことに集中する環境を確保できるかをまったく違う角度から再認識できます。この本に書いてあることは、単純にひとつのことに集中しましょうっていう簡単なことじゃなくて、いかにそういう環境で人間の脳みそが変化していったかを書いてあるのがすごくいい。

■グーグルやtwitterがある世界で暗記教育は時間の無駄という考えは本当か?

「グーグルで検索できる時代に暗記は時間のムダ。暗記はネットにさせて、人間にしかできないクリエイティブな事柄に頭のリソースを使うべき」という考えが現在では主流です。

例えば、twitterでフォロー数がかなり多い孫さんは「twitterで疑問を書くと、世界中に人々からアドバイスが瞬時にもらえる。右脳と左脳に加えて、第三の脳ができたみたいだ。」と言っていた。

自分も、答えが明確な事柄だとすぐに検索して調べるようにしている。それが一番速くて効率的だから。この本では、疑問が出てから、答えに至るまでのプロセスがかつてないほど省略されたネット社会において、人間の失われた能力について検証している。

その中には、ネット社会では無駄と考えられている暗記をしないことによって、脳内の重要なシナプスが弱まって、結果的にクリエイティブなアイデアを作り出す能力にも影響するようなことが書かれています。

このあたりの内容は、本当に目から鱗だった。最近はプログラミングでWEBサービスを作るのに夢中になっているわけですが、数学嫌いな自分にとってプログラミングする時に使う脳みそは今まで経験したことのない部分を使っている実感がリアルに体験できている。

プログラミングには一つ一つの細かいロジックを分解して、モデルとビューとコントローラに分けるMVCモデルというフレームワークがある。これを組み合わせを考えている時、普段の生活では使わない脳みそをフル活動させている気がするし、そういう物事を抽象化する能力は他の事柄にも絶対役に立つと思う。

なんでもそうだけど、答えが一気に出ると、それまでの過程がすっ飛ばされるので考えることをしなくなるというのはわかりやすい。

■でも、便利な道具を使わないと取り残されるし。。

ここが本書のキモだと思う。いくらネットを使うと注意散漫症候群になってしまうといっても、ネットなしの生活は不便すぎる。ビジネスでも、マルチタスクしないとライバルに差をつけられる場面は多々あるはず。

著者のニコラスカー先生も、本書執筆の時は山小屋に篭もったけど、書き終えた後にyoutubeや音楽サービスを使った時、この便利さからは離れられないと感じたみたいです。好む、好まざるに関係なく、時代の波には逆らうことはできない。

とりあえず、道具で便利になることにより、失われるものがあるとしっかり認識するのは重要だとして、集中するための環境作りも大事。便利な道具によって失う部分に注目することが、いろいろなヒントになりそうだなあと思ったしだいでありました。


虎屋―和菓子と歩んだ五百年


虎屋―和菓子と歩んだ五百年 (新潮新書)
ひょんなことから、高級和菓子屋「とらや」に行くことになった。どうせ行くなら研究してから行こうと思い、ホームページをさらりと見た後、本書を読んで500年の歴史を持ち、「とらやの歴史は和菓子の歴史」とまで言われる所以を勉強してみたわけです。

■和菓子は五感の芸術

美しさを視覚で、銘々された名前を聴覚で、味わいを味覚、香りを嗅覚、食べる時の完食を触覚で味わう和菓子は五感の芸術と言われています。特に高級和菓子ともなると、普段の食べ物では重視しない、見た目の美しさの視覚と、考えられた名前の聴覚へのこだわりが強い。

■皇室、財閥、歌舞伎界などの御用達

この本に出てくる代々のお得意様の顔ぶれが半端ない。大昔から皇室のために和菓子を作ってきただけあって、明治天皇の特注の和菓子を作ってそれぞれの名前を命名してもらったり、最近では歌舞伎界の海老蔵の襲名で特注の和菓子を作ったらしい。

ゴルフボールの形をした「ホールインワン」という和菓子は、三菱財閥創始者、岩崎与太郎の子孫であり三菱4代目の岩崎小弥太が作らせたものだったりと、それぞれの和菓子の逸話に財界人がわんさか出てくる。

■何度も訪れた危機を乗り越えてきたとらや

今でこそ日本は不況で、特に贅沢品となる高級和菓子なんてまっさきに打撃を受ける業界。デフレ時代ではユニクロとか安いのがウリの店は繁盛するけど、高級店の「とらや」は結構厳しい状況らしい。ただ、世界大戦や大地震など、今まで何度も廃業の危機を乗り越えてきた店なわけで、それに比べれば「こういう不況は過去には何度かあった」みたいな認識らしい。うーむ、さすがに歴史がすごい。

■時代の変化に対応してきて生き残ってきた

もともと京都の和菓子店だった「とらや」ですが、皇室が東京に移るのにあわせて東京に店を移動させる。最初はお偉いさんの注文のみだったのが、販売もするようになり、百貨店やデパートなどで売り出す。その時々に、ブランドイメージの維持と時代の流れに合わせる葛藤などがあったらしい。

■政治の世界にも進出する15代目

「とらや」はずっと黒川家で先祖代々受け継いできた会社です。同族企業の社長の業績は、誰でもいいから優秀な人を跡取りにする企業に比べて落ちるのは、久保先生の「コーポレートガバナンス」という本でも統計的に立証されている。それでも、500年潰れずに生き残ってきたのは確固たるブランドイメージが強力なのと、受け継がれてきた経営方針みたいなものが根付いているのかもしれない。

そんな黒川家でも、15代目だけは後継者不足で東大出の優秀な若者を養子にしている。これがが15代目の武雄さんなわけですが、この人の経営が結構すごい。当時では珍しかったダイレクトメールという手法や、米国産のフォード車を配達に初めて使ったりといろいろと新しいことを試している。

そんな武雄さんが政界に進出したきっかけは、皇室の御用達を取り消されかけた時。なんとか皇室御用達は続けてもらうことに成功したんだけど、この時、政治力の重要さを実感して政界にも進出していく。

■実際に、伊勢丹のカフェに食べに行ってきた!

本を読んでたら猛烈に食いたくなったので、新宿伊勢丹のとらやのカフェに「あんみつ」を食いに行ってきた。高級デパート店の入り口のすぐ横に位置するとらや。たいていの百貨店で「とらや」はこの特等席を確保しているらしい。さすがだ。。

30分ほど待つので、売っている羊羹を眺める。すると、どこからともなくマダムが現れ、とらやは京都発祥だとか、京都の限定品が美味いと教えてくれた。高級和菓子店だけにこういう客層は非常に多いらしく、百貨店ではマダム達が張り合って高い和菓子を注文する光景は日常茶飯事だとか。

ようやく入れたので、さっそく定番商品である「あんみつ」を食べてみる。1000円ぐらい。金魚の形をした寒天みたいなものを口にいれた瞬間、あまりの美味さにびびる。「とらやで食べると他の店で食えなくなる」と言われてはいたんですが、本当にそんな感じ。心の中でスタンディングオベレーション。これはヤバイ。

絶対また来ようと心に誓いながら、本来の目的である羊羹を買って帰りました。


なぜ学ぶのかを真面目に考えた


問い:何故学ぶのか? → 答え:自由になるため

このエントリを読んでちょっと考えてみた。結論から言うと、自分は「自由になりたい」と「知りたい」と欲求が人間が勉強する動力源になってると思う。

■自由を得るため→知りたいという欲求の順番

確かに勉強は自由になる手段として有効です。知識がつけばいい職につける可能性がぐっと広がるし、いい職につけばお金がたくさんもらえて人生の選択が広がって自由が広がる可能性が高い。

ただ、もともと経済的に自由なお金持ちの子供でも学問にのめり込む人は少なくない。例えば、イギリスの貴族の子供とか。最近出た成毛さんの本によると、科学とか歴史など、金融業界やIT業界に比べて換金性の低い分野ではヨーロッパ人の業績がアメリカに比べて高いらしい。

これは、アメリカ人は貧乏から一攫千金を狙う人が多いけど、ヨーロッパの金持ちの子供たちは経済的に自由があるから、あまり食えない学問分野に進むことが可能なんじゃないかという説を書いてた。

で、話を戻すと、この人達はある程度経済的な自由を手に入れているのに勉強してることになる。なんでかといえば、人間が本来持つ「知りたい」という欲求が大きな要素になってるんだろうと自分は思うわけです。最初は経済的自由を手に入れるのが重要で、その次は知的好奇心を満たすのが目的になる感じで、マズローの欲求段階説みたいなイメージです。

うむ、なるほど。。と自分で納得した後に、いやいや単純な段階説ではないのではないかと思い直してみた。

■ふたつの欲求は連動していそう

まず、経済的な自由が十分満たされて、様々な自由度が高い状態だと、「知りたい」という欲求が勉強のモチベーションとして強いと最初は考えた。でも、そもそも勉強をすることは自分の頭の中の視野を広げることになる。そうなると、これまで考えていた常識から外れた考えを手に入れることができたりする。

つまり、自分の考えを縛っている「常識」であったり、「慣習」などの考え方から自由になるために勉強をするとも考えられたりする。こうなると、経済的な自由を手に入れても、自分の頭の中を縛っている固定観念から自由になるために勉強をすると考えることもできちゃう。

さらにいうと、貧乏な状態から脱出するための手段として勉強している人でも、「知りたい」という欲求が勉強の動力源になっているはず。換金性がある目的というだけでは勉強は長続きしないから、やっぱり自分の好きな分野を誰でもやろうとするし。

というわけで、人間が学ぶ目的は「自由になること」と「知りたい」という欲求を満たすことだと思ったしだいであります。

自由をつくる自在に生きる (集英社新書 520C)実践! 多読術  本は「組み合わせ」で読みこなせ (角川oneテーマ21)


早稲田大学の勉強環境は世界一


まあ、実際はそんなわけないんだけど、とりあえず言い切ったほうが面白いので、タイトルを前提に理由を述べていきたいと思います。

■教授に直接質問できるオフィスアワーがある

早稲田にはオフィスアワーという制度があって、一週間に1時間ほど、決められた時間に教授に質問しにいける制度がある。その時間帯に留守の教授もいるらしいけど、一応決められた時間は教授室に自由に訪問できることになっております。

そして、自分も含め、日本の大学生は勉強しない人が多いので、大抵の教授のオフィスアワーは空いている。ここが最も重要な部分で、こういう制度をアメリカの有名大学とかでやったら、一気に予約が殺到して何ヶ月待ちみたいな状況になると思う。

教授に聞いた話によると、海外ではそもそも教授に質問する機会はなくて、TAに聞くぐらいらしい。そもそも、教授に1時間コンサルしてもらえるのを時給換算したらえらい金額になるはず。

というわけで、大学院とか目指している学生や、研究分野が決まっている学生にとっては、教授に質問しまくれる環境は天国だと思うわけです。さらに、一部の留学生を除いて熱心な学生はいないので、競争率が低い。競争率が低いってことは、ちょっと熱心なだけで、教授に気に入られる可能性が高いということだったりすると思う。さらに、ビジネススクールとか大学院もあるので仲良くなったら潜らせてもらえるかもしれない。

うーむ、素晴らしい。自分ももっとこの制度を使うべきだと改めて思った。今度、いろいろなWEBサービスのアイデアを嫌がらせのようにいろいろな教授に意見を聞きにいってみようか。しかし、自分は大学から歩いて7分の距離に住んでいるのに、めんどくさくてあまりこの制度を使ったことがない。

■マンモス大学でいろいろな設備が整っている

まず、図書館が日本一の蔵書を誇るらしい。さらに、ジムも年間2千円で使い放題。民間の価格と比べたら超絶安い。さらに、なんか学生起業とかを応援しているらしく、早稲田生専用のビジコンがあって、優勝したら100万もらえる。

普通、民間のビジコンで賞金もらおうとしたらすごい競争率だと思うけど、早稲田生限定だったらこれはおいしすぎると思う。そういうことを、関係者に聞いてみたら、「そうなんですよ!」と言ってた。あと、インキュベーションセンターとかいう施設もあって、ここでは中小企業診断士とか持っている人がビジネスのアイデアを無料で相談に乗ってくれたりする。これも、学生じゃないと結構値段がかかるんじゃないでしょか。

さらに、早稲田の生徒数は日大に続いて全国2位。大学院含めて5万人以上いる。そういうわけで、大学向けのサービスやら雑誌やら作ると潜在顧客が相当数見込めることになる。一応、世間では有名大学となっているので、企業からの広告も取りやすい。

普通、なんかサービス作ろうとする時、セグメントを絞らないといけないんですけど、大学って最初から絞られてるし、自分が専門家だし、他の人たちは参入しにくいので最高の環境だと思うんですよ。フェイスブックとかも大学からできたし。そういう時に、そこそこ有名でなにより生徒数が多いっていうのはかなりいいと思う。

ついでにいえば、奨学金の充実度も日本トップレベルらしい。お金持ちの生徒が多いので、ちょい貧乏な家庭でも結構もらえる。

というわけで、いろいろとよい部分を述べてみましたが、肝心の授業にまったく行っていないので、本当のところはよくわかりません。

学歴の耐えられない軽さ やばくないか、その大学、その会社、その常識


JAPANはなぜ負けるのか


サッカーと経済学に興味があったら絶対面白い。今年読んだ経済書の中で一番面白かった。

「ヤバイ経済学」とか「不道徳教育」を初めて読んだ時は、常識が破壊されつつも、納得のゆく合理的な説明に衝撃を受けたわけですが、そういう本をいろいろ読んでいるとあまり目新しい事を書いている本が見つからなくなってくる。

まあ、たまに「ブラックスワン」とかすごい本が出てくるんですが、なにげなしに書店で手にとった本書はかなりよかった。元々は「なぜイングランドは負けるのか」という本を日本向けに書き足した内容。

これを読めば、「インランド代表が弱いのは国内リーグで自国の選手がレギュラーで活躍できないからだ。だから、外国選手を選抜で使うのに規制をするべき。」という、よくある言説が間違いだと合理的に説明してくれます。

プラティニとかは上記のようなルールを作ろうとしているけど、試合数が多すぎて選手が疲れちゃう問題とか、ジャッジにテクノロジーを導入するとかそういう方向に力をいれてもらいたい!

しかし、本番では見事にイングランドがドイツに粉砕されて悲しかった。

「ジャパン」はなぜ負けるのか─経済学が解明するサッカーの不条理


ゲゲゲの女房


最近、「ゲゲゲの女房」という本を読んでみた。水木しげる大先生の奥さんが書いた本。水木先生の人生観が面白い。

水木先生はとにかく睡眠を大事にする。手塚先生とか、偉大な作家達は死んじゃったけど、水木先生が生きているのはいっぱい寝たからだと言い放っている。やはり睡眠と食事は何よりも大事だということで、自分もいかにいっぱい寝る人生をおくるかをこれまで以上に真剣に考えてみようと思う。

まあ、これだけじゃないんですが、終わりよければすべてよしと奥さんが言っているあたり、水木マジックの幸せオーラに洗脳されて、結構真面目だった奥さんも最後には幸せものになっているところがほのぼのします。

一番面白いのが、奥さんはどんな人ですか?と水木先生が聞かれた時、「生まれてきたから生きているような人間です」と答えたところ。これは信頼がなせる技なのだろうか!

次は、水木しげる伝を読んで、さらに研究を進めたいと思います。

ゲゲゲの女房完全版水木しげる伝(上) (講談社漫画文庫)


拝金とメディアの支配者


ホリエモンの初の小説である「拝金」を読んでみた。当時のライブドア騒動とリンクしたノンフィクションなんですが、その背景を知ってると結構面白い。小説としては読むと内容が薄いので、当時の回顧録という意味で読むと見方が変わっていいと思う。

主人公が携帯ゲームのビジネスモデルを考えるところとか、記者クラブ制度や電波オークションを実施せずに既得利権を守るマスコミにひたすら文句いうとことかは最近の、池田信夫氏のブログで盛り上がってる部分とリンクしたりしてる。

特に、「メディアの支配者」で書かれていた昔のフジテレビのお家騒動のネタが出てきてここが一番いい。フジサンケイグループは元々、鹿内一族が牛耳っていたんだけど、今の社長の日枝氏がクーデターを起こしている。

その後、鹿内一族を完全に切り捨てるために複雑な株式の形式を持つようになったフジサンケイグループの弱点を突いて敵対的買収を仕掛けるところとか、当事者が当時を思い返して小説にしているんだなと思うと楽しい。

ホリエモンの本はたいてい立ち読みで十分なぐらいのハウツー本だとは思うんですが、「徹底抗戦」だけは当時の留置場の話とか、検察への恨み辛みのエネルギーがうねってて最高でした。この本は、「徹底抗戦」をめちゃくちゃ薄めて読みやすい小説にしたって感じです。

ちなみに、ここまで世間体を気にせず本音をバシバシ発表するのは本当に凄いと思う。だからこそブログも面白いのかな。
メディアの支配者 上拝金徹底抗戦