現役の偉大なキチガイ、水木しげるを研究することにした


■偉大なキチガイたち

僕は偉大なキチガイを研究するのが好きです。外人でいえば、エジソンとかジョブスとか最高です。さらに、最近読んだ”スノーボール”という本でバフェットも正真正銘のキチガイだということが再認識されました。

上であげたのはビジネスに関係する人ばかりですが、本当にキチガイがいるのは小説家とかそういう芸術分野です。ドストエフスキーとか志賀直哉とか本当にどうしようもない奴らばっかりっていうのが”大作家ろくでなし列伝”っていう本を読めばよくわかります。

天才は何をしても許されるのでしょうか。いや、お金を儲けてなかったら世間はそうそう甘くはないと思いますが、どうでしょうか。

■現存する偉大な日本のキチガイ 団鬼六

現存する偉大なキチガイ、さらに日本国に在住している人で思い浮かぶのがSM小説家の団鬼六先生です。この人のキチガイっぷりは”快楽なくして何が人生”といういっちゃってるタイトルの本の目次をちらりと読めだけですぐに分かります。

延滞期の夫婦はパートナーをスワッピングし、嫉妬心を作り出した方が逆に愛情が深まるとか書いてます。常識にとらわれない発想を持つ天才。。というか偉大なキチガイです。そもそもこの人は小学校の教師をしていた時に生徒に自習させておいて、自分はSM小説を生徒の前で書いていたという離れ業をこなしています。

■不老不死の偉大なキチガイ 水木しげる

僕の友達で水木しげるマニアがいるのですが、この人の破天荒っぷりは前々から聞いていました。戦地で片腕なくしてマラリアで死にかけた状態を経験しているからか、人生観が半端ないらしい。”戦争はいけません、腹が減るから”とか有名ですが、水木先生の名言は数知れないらしい。

現在、”ゲゲゲの女房”っていうのが朝ドラでやっていますが、かなり面白いらしいです。僕のオカンも絶賛していました。新婚旅行で自分の好きな墓場に連れて行くとか最高です。

というわけで、衝動的に”ゲゲゲの女房”っていう本を注文してみた。文筆力は未知数だけど、何十年も一緒に連れ添った人というのは、どんな密着取材をウリにしているジャーナリストよりはるかに細かい部分を書けるはずだと思うわけです。

※キチガイという言葉は放送禁止用語らしいのですが、こんな誰も読んでないブログで使っても誰も気にしないでしょう。そもそも、テレビじゃないのでくだらない言葉狩りには負けません。そもそも、僕が使う場合はたいていほめ言葉で使います。でも、圧力とかあったらメンドクサイのですぐ訂正します。


W杯モードに入るため、本を買ってきました


最近、髪の毛が伸びてきて「浮浪者みたい」と言われたので池袋まで散髪しに行きました。
そして、その帰りにふらりとジュンク堂によると、サッカー関連の本がどっさり置かれたコーナーが目にとまりました。
W杯前によさそうな本あるかなあと思って眺めていると、予想以上に面白そうな本がたくさん。

20冊ぐらい置いてあった本の数々から、特に面白そうなのを厳選して買ってきた。

経済学者が書いた「なぜイングランドは負けるか」の日本語版。
サッカー戦術の本で最新の日本代表をサンプルにわかりやすさそうな本。
FCバルセロナの経営やサッカービジネス全般の本。
ブラジル代表のメンタリティーを解説した本。

結構バランスよく選べたと思うので、しっかりとW杯にそなえたいと思うしだいであります。


「光の道」に関する、孫正義さんと佐々木さんの対談を簡潔にまとめてみる。


光の道についての対談のテキストを読んだ

■最も重要な点は次の2点。

1. 光の道は税金を投入せず、民間で全部リスク取ってやる。
2 .IpadのSimロック解除は敵に武器を渡すことなので、できない。周波数割り当てなど、SBはDocomoに対して不利な状況の挑戦者の立場。余裕ができたら解除するかも。

1に関しては、「光の道」は採算が取れないし、無線のほうが効率がよいから税金使ってやるのは反対というのが池田信夫氏とか佐々木氏の論拠だった。税金使わずにソフトバンクがリスク取るらしいので、それならご自由にって感じだと思う。

で、採算が取れるかどうかの話も数字で議論していた。ここが結構面白くて、田舎に光なんて通しても、コンテンツがないとムダだろうっていう意見に孫さんが反論してた。

田舎こそメタル回線で赤字垂れ流し状態であり、全部光に変えるとそれだけで収益が大幅に上がると。つまり、工事費をいれてもメタル回線の維持費がなくなる利益のほうがでかいらしい。

あと、回線が速くなればコンテンツの充実も促進されると。海外でも日本でも、優れたプラットフォームを使えばよいというのが孫さんの意見。

2のSimロックに関しては、まあ一企業の戦略としてはしょうがないといえばしょうがないのかな?NTTに対してフェアに競争させろと訴えていた孫さんですが、SBは挑戦者の立場だから独占しないと勝てないと言っていました。

■感想

自分としても、一企業がリスク取ってやるなら「光の道」に反対する理由はないし、採算取れるように頑張ってほしい。Simロックに関しては、消費者の立場から独占止めてほしい。

オープンな場で活発な議論が出来る時代は素晴らしいなと感じた朝でした。


John MayerのLiveに行ってきたわけだが・・・


昨日、CBSホールにJohn MayerのLIVEに行ってきた。

アリーナでど真ん中、列も10列目ぐらい。最高のポジション。CBSホールはだいたい2千人ぐらい収容。本国なら絶対こんな小さなところで見れるわけないアーティストなので興奮して行ってきたわけです。

しかし、アルバム全曲知っているぐらいファンなのに、どうも退屈であった。そもそもライブというもに自分は向いていないのかもしれない。なぜかというと、John Mayerの曲で本当に好きなのは5曲ぐらい。それも、好きな曲も聴き過ぎると結構飽きてくる。

ライブになると、自分のそんなに好きじゃない曲が大半なわけで、その時間は寝転がって漫画でも読みながら聞きたいなぐらいの状態になる。しかし、今回は椅子があるけどアリーナなのでみんな立つし、自分だけ座るわけにもいかない。以外に2階席のほうが座って落ち着いて見れてよかったなと思った。

自分が女ならJohn Mayerカッコイイなと近くでずっと見てるだけで満足してたんだろうけど、いかんせん男なので、特に生でずっと見ていたいっていう興奮もなし。

というわけで、相当好きな曲が多い歌手じゃないと、同じ金でレンタルカート乗ったほうが自分は楽しめるなという結論が出ました。

やはりEmi Mayerのライブを超えるものはなかなかでてこない。あれは座って落ち着いて見れたのもでかかった。


孫正義LIVEが面白すぎたので、関連本を2冊読んでみた


孫正義LIVE2011(全編)

孫さんのことはまったく知らなかったんですが、2日前になにげなく聞いてみたら面白くて一気に2時間たってた。
10時に寝る早寝早起きを実践して毎日であるわけですが、その日はたまたま12時まで起きてしまってた。
意識朦朧としていていて早く寝ないとと思っている時間帯、そこからさらに2時間聞かせるというのは自分にとっては相当凄い。
自分しかわからない基準ですが。

で、面白かったので次の日に図書館行って、よさそうな本を2冊読んでみた。
”孫正義 世界20億人覇権の野望”と”志高く 孫正義正”の2冊。
結論からいうと自分としては後者がオススメ。

理由は、孫さんのぶっ飛んだ学校時代とか、ひたすら熱い部分が詳しく書かれているから。
前者の”覇権の野望”のほうはボーダフォンを買うところとか、電通のクリエイターとの話とか、
最近のビジネス部分が多い。まあ、こっちも十分面白い。

実在しているスケールでかい人物の伝記はジョブスとかバフェットとかどうしても海外の人になって
しまうけど、これらは日本の話だから知っている会社がいっぱいでてきて面白い。
やっぱり海外のよくわからない会社の名前が出てくるより、ジョーシン電気とか、電通とか、
最近の携帯ビジネスの話は予備知識があるので楽しめます。

ちなみに、金融日記の感想がブログでは一番面白かった。

こういうスケールのでかい話を聞くと、ちっちゃいことがどうでもよくなるのである意味精神安定上よろしいかもしれない。まあ、仕事しすぎだろと突っ込みたくなる時もあるけれど、自分が楽しいことをやりまくるのは誰でも楽しいはず。宇宙の話とかもそういう意味ではいいんだけど、ちょっと非現実すぎるのがイメージわかなかったりするしなあ。


「君主論」を漫画から攻める


君主論 (岩波文庫)君主論 (まんがで読破)チェーザレ 破壊の創造者(1) (KCデラックス)

マキャベリの「君主論」は恐怖で支配するみたいなイメージで有名ですが、時代背景を考えて読むと面白かったりする。偏見なしで読むと意外といい本だと評判です。結構薄い本だけど、古典で古い本なのでいきなり読むと、なんかヒドい事が書かれていて特に興味が持てないみたいな状態になっちゃいそうな本であります。

でも、日本には漫画という世界に誇る素晴らしい文化があります。とっつきやすさという最大の武器を持った漫画から入ると、時代背景を楽しく理解できて、本編の君主論も断然読みやすくなる。理解もしやすい。

ということで、まずは「チェーザレ」っていう君主論のモデルになった人物の漫画がよくできていて面白い。今は7巻あたりまで出ているけど、中世ヨーロッパの勉強もできてお得。背景描写へのこだわりとかも巻末で書かれていて、凄い力が入っている漫画だなと関心します。

さらに、漫画で読破シリーズの「君主論」が最高にいい。漫画で読破シリーズは古典を漫画で読みやすく紹介するというシリーズです。これは当たりハズレが大きい。ハズレのものは小説を題材にしたものが多いけど、単純に漫画化してチープになっただけっていう展開がよくある。

それにひきかえ、「君主論」バージョンはいい。なにがいいかというと、君主論を漫画にしたわけじゃないというところ。単純に君主論を書くまでのマキャベリの歴史、時代背景を漫画にしている。ラストはこれからマキャベリが君主論を書き始めるところで終わる。なので、君主論を漫画にしたわけでなく、君主論を書いたマキャベリの半生から作者が影響を受けた事柄をざっくりと予習できます。

で、本編の「君主論」を読むと楽しさが違ってきます。特に漫画で読破シリーズの「君主論」は予習としてかなりいい。これを読む前に本編をいきなり読んだんですが、hmhmそうか、なんか当たり前のことのような気がするなっていうイメージだった。時代背景を少しでもつかむとだいぶ楽しい。

そもそも、君主論にのっているマキャベリの絵が完全に悪人そのもの。怖い。漫画で読破シリーズのマキャベリは顔も明らかに善人キャラ。ノンキャリアとしてのマキャベリが政治に奮闘する姿が熱い。

このように、とっつきやすい漫画から興味を持って本に移行するというのは最高に素晴らしいナイスアイデアだなあと常々思っていた。そしたら、下記のような本を見つけたので思わず注文してしまいました。
マンガで鍛える読書力


【映画】ハートロッカーは狙撃シーンがいい


「ハートロッカー」を見てきた。ストーリーは淡々としていてなんでアカデミー作品賞を取れたのかよくわからなかったけど、軍オタとしては狙撃シーンが最高でした。ブラックホークダウンとか好きな人ならあれは楽しめる。そんなにネタバレはしない予定です。

この映画は突発的に見たくなったので、外が雨にもかかわらず頑張って映画館まで行ってきたわけです。で、作品を楽しむために道中では爆弾処理している時の心理状況とか想像したり、自分はいくらお金もらったら出来るかとか、映画監督ならどういうふうに撮影するかとか頭の中で想像していました。

脳内シミュレーションの結果、自分は爆弾処理とか数億円積まれてもちょっときついなという結論になった。余命数ヶ月ならまだしも、できるだけ長く生きていたいし、将来十分稼げるようになるかもしれんし、結構楽観的な性格なので未来はバラ色なわけです。

まあ、それでも爆弾処理をする人は必要なわけで、そういう人の哲学とか、「俺はこういう理由で爆弾処理するんだぜ」とか、そういった名ゼリフを自分が監督なら出したいなとか想像して道中の電車に揺られていました。

さて、映画を見たところ、主人公は普通に命知らずで特に爆弾処理をしている信念みたいなものもなく、爆弾のコードを切るのも淡々としている。よく小説とか映画とかである、「黄色か赤色、どっちを切ったらいいんだよ!ふぁっく!」みたいな発言もなく、主人公は淡々とコードをワイヤーとかで切っちゃうわけです。

なんだこれは。ちょっと想像と違っていたぞ。でも、それがリアルっていえばリアルなのかもしれない。しかし、爆弾処理シーンは特にドキドキしないけど、もっとドキドキするシーンが実はあった。

それはですね、爆弾処理に行くときや処理中に周りのイラク人達が一般市民なのか爆弾テロ犯なのか、もしくは爆弾の起爆スイッチを持って様子見している敵なのかさっぱりわからんところです。

この、周りのどいつが敵で、どいつが一般市民なのかわからず、さらに異国の言葉をべらべら喋っている。怖いから全員とりあえず撃ち殺しちゃいそうな米国兵の心理状況とオーバーラップする。ここは凄い。怖すぎる。

さらに、中盤の砂漠での敵との狙撃対決シーン。ここは軍オタなら要チェック。スコープごしに相手を狙っている時、相手も同時にこちらを狙っている。このドキドキ感。ここは映画館で見るとライフルの弾の音が大迫力なので価値ありでした。ここが一番燃えた。ここまではちょっと神映画かもしれない。

で、中盤以降、主人公含め、チームのみんなが精神的におかしくなってくるわけですが、ここらへんからちょっと映画がだれはじめる。

最初は主人公を威嚇していた黒人の同僚が「なんでお前はこんなの続けられんだよ?」とか半泣きで聞いていたんですが、主人公特に明確な返事なし。なんで続けるのか僕も知りたいです。理屈じゃないのかな。なんでだろう。。

さらに、自分が映画監督なら、爆風でどういうふうに周りの破片や石が飛んできて致命的な損傷を負うかを映像化するべきだと思った。爆発の瞬間のスローシーンはあるんですが、その後の破片が飛んでくるシーンを描いてほしかった。

もうちょっと爆弾処理班の給与水準とか、除隊後の生活保護とか、主人公が続ける理由とか掘り下げてほしかったなあとは思いつつ、まあ狙撃シーンが格好良かったからいいかと思い映画館を後にしました。

その後、映画館にiphoneをなくして大変だった。一番ドキドキした。


ケインズとハイエクのラップ対決


これは凄い。久々に感動した。受付嬢がケインズに会えて感激している横で知名度の低いハイエク。初っぱなから面白い。ケインズがハイエクに電話して、「FEDでパーティーだ」とか言ってラップが始まる。パーティーで人気者のケインズに対し、女の子たちにハゲ頭を触られるハイエクが悲しすぎる(笑)


書籍におけるユーザビリティ


本を読んでいる時、たいてい巻末に索引があります。この索引には結構重要な事が書いてあることが多いんだけど、巻末と読んでるページを行ったりきたりするのは手間がかかる。結果的に、索引は読まない人が大半じゃないだろうか。

しかしですね、先日読んだ”ハッカーと画家”は索引が同じページの下の部分に書かれている。こういう書き方をしている本はたまにあるけど、非常に見やすい。目を移動させるだけで索引を読むことができるので自然に読むことができる。

少々1ページごとの見た目はごちゃっとしてしまうけど、こっちのほうが遙かに読み手に優しいと思うんですが、なんで巻末索引が主流なんだろうか。そっちが主流になっているのは何か意味があるかもしれないと思い、しばし考えてみたが説得力のある利点が思いつかない。

世間で常識とされている事はそれなりに合理的である場合もあるけど、実はまったく不合理な慣習が生き残っている場合もまたあるわけです。キーボードの配列とか単純にタイプライター時代の慣習をそのまま引き継いでいるから、実はもっとよい配列があったりするし。

ちなみに、タイトルは「索引は巻末より同じページのほうが見やすい!」ってやったほうが一発で内容がわかって読み手に優しいのですが、ユーザビリティとかカッコいい横文字使ったほうがアクセス高そうなのでこっちにしてみた。タイトルが思わせぶりなほうが、「おお、なんだろ。。なんか凄い高度な事が書いてそうだ」とか自分は思ってしまう。

このユーザーのことを本当に考えて作るのと、訴求力を持たせるというのはしばしば相反するものかもしれない。行動経済学とか心理学を使った価格コンサルなんて、いかにユーザーの心理を操作して買わせるかをアドバイスするようなもんだし。

しかし、そういうことをやり過ぎると、いずれユーザーの反感を買って逆効果になったりもする。

「なんかユーザビリティとか書いてて、近頃話題の電子書籍とからめるのかと思ったら書いてあるのは巻末索引だけじゃないか。このブログは万死に値するな。」とか思う人がいて怒られそうです。


【書評】ハッカーと画家


ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち
超絶最高におもしろい。久々に遭遇した大興奮の傑作だと思う。今年に入って読んだ中で間違いなくベスト。

いくつかのネットベンチャーを立ち上げた著者が、様々なトピックに対して論理的に分かりやすく語る形式。デザイン、哲学、起業、プログラム、格差、タブーなどについて極めてわかりやすく、論理的に語っています。

ちなみに、ハッカーは犯罪者っぽい響きがあるけど、単純に優秀なプログラマーを意味する。個人主義が多いプログラマーにはリバタリアンが多いらしいけど、著者も生粋の自由主義者っぽい。

ベンチャー企業のスタートアップの話は、YAHOOに自社のアプリケーションを50億で売却した経験を元に非常に濃い話が書かれている。例えば、ベンチャーは普通の人が30年間分の働きを3年間で猛烈に働き、30年間分の給料を稼ぎ出すものだというくくりは最高に生々しく、面白い。そして、実際は一か八かでリスクの部分も具体的に書かれているのがいい。

”企業バカ”とか”ベンチャーはなぜ失敗するのか”っていう本に比べて、この”ハッカーと画家”は書かれていることの質が段違いに高い。

【口にできないこと】

時代によってタブーは変る。現在のタブーも未来の人から見れば笑えるものかもしれない。でも、現代の人間には今の常識が当たり前なのでわかりにくい。そういった事を見つけるには、他の人がそれを口にしたことで災難に巻き込まれたことを探す。タブーを真実とされると怒る集団がいて、それは真実である可能性も高い。

ここからがこの本の面白いところで、そういった考えは頭の中で巡らせてできるだけ口にしないほうがいいと書いてある。なぜなら、異端者としてそれを反対する人と議論をするのは不毛だし、それに多大な時間を費やす羽目になってしまうから。

このタブーの見つけ方、現実としてどう扱うかまでをここまで深く書いている本は初めて。ここが本書の最もオリジナルな部分かもしれない。

【10倍働くから10倍給料あげてくれ?】

秀逸なのが、富を創造するにはどうすればいいかという部分。上司に10倍働くから10倍給料をあげてくれと言っても無理。それは、大企業がそういう仕組みになっていないから。企業は普通の社員の評価を公正に計る方法がない。だから、10倍働いても10倍の成果がはっきり分からないので給料も上がらない。

本書では、しっかりと計れて、自由に生産性を高められる職だけが金持ちになれると書いている。

つまり、スポーツ選手やファンドマネージャー、企業のCEOなど。フリーのスーパー営業マンもそれに入る。成果が誰にでもハッキリとわかり、生産性を自由に上げることができる職種。これらの業種は働いた分だけお金を稼ぐことが可能になる。もちろん失敗のリスクも平等にある。

計れて、自由に生産性を高められる職につくとノルマとか仕事という感覚がなくなると思う。スポーツ選手が8時間労働を要求するとか聞いたことがない。ライバルに勝つために自分でやるわけで、それがもっとも生産性が高い。

【どうしてオタクはモテないか】

この本の中である意味一番どうでもよく、それだけに笑える部分。ただし、どうでもよい部分をひたすら論理的に考察しているのが笑える。

著者の主張を乱暴に解釈すると、オタクは頭がよくて身なりに脳みそを使っている暇がない。そして、他の人と同じように人気者になる労力を他の事柄に費やすからだ。と書いている。ここは、単純にギャグとして書いたのかもしれないけど、ひたすら論理的にオタクを擁護していてちょっと面白い。

自分もいろいろなもののオタですが、単純にオタクがモテないのは見た目が一番クリティカルなんじゃないかと思っちゃう。そして、逆説的には、モテることを諦めたからこそ他の事に脳みそを使うっていう部分もあるんじゃないかと。もちろん頭がいいんだろうけど。

そうはいいながら、著者はダンディなイケメンで学生時代もイケメン風でありました。関係ないけど、どんなものでもオタ化するほど知識がある人は面白い。でも、それを伝えられる能力がまた難しい。

NHKのデジタルネイティブという番組で、著者のグラハム動画への簡潔なインタビューが見れる。メッセージも簡潔でいい!
http://www.nhk.or.jp/digitalnative/index.html?id=n00