2009年のオススメ本ランキング


2009年に読んだ本の中から、イチオシ本をランキングしてみた。
一度データが飛んだため、書評が消えたものもあるという悲しい状態。

【かための本】

拷問読書【1位】坂之上の雲【小説】
日露戦争に勝利するという奇跡を描いた司馬遼太郎の代表作。国民全体が極貧に耐え、学問で出世して国を守るぞというエネルギーが凄い。

拷問読書【2位】ブラックスワン【経済】

今までの考え方をひっくり返させられる凄い本。ここ数年で最も影響受けた本かもしれない。世の中はあまりに複雑なため、未来を予想できると勘違いするなと力説してます。

拷問読書【3位】銃・病原菌・鉄【科学】

世界の貧富の差はなぜ生まれたか?人種間の知能の違いではなく、生まれた土地が決定的な要素となったという仮説を徹底的な歴史の検証によって証明していく本。

拷問読書【4位】フリー【経済】

「タダほど高いものはない」の通説は現代社会において通用しない。今後さらに普及が予想される無料ビジネス、経済を検証している。

拷問読書【5位】選挙のパラドクス【政治】

「多数決は平等である」という常識が根本から覆されます。投票制度の裏を突いた選挙の紹介や、真に優れた投票制度とは何なのかを検証する本。

拷問読書【6位】ライアーズ・ポーカー【金融】

ウォール街の一流投資銀行で、一流の成績を収めた著者が内情を赤裸々に暴露。

年収数千万を稼ぐブローカー達の世界が垣間見れます。

拷問読書【7位】迷惑な進化【科学】

伝染病など、あらゆる病気は合理的な進化の過程の産物だった。

人類を脅かす病気が、実は人類自ら選択した結果だったという専門家が書いた本。

拷問読書【8位】羽生善治・決断力【思考】

日々進化する将棋業界で生き残るため、いかに学習し、何を捨てるか。

相手の弱点をひたすら突く戦術や、不利な状態でのかく乱など、内容がめちゃくちゃ濃い。

拷問読書【9位】誰のためのデザイン?【科学】

使いやすいデザインとはなにか?を考え、周りの道具への視点が変わる本。

読み終わった後は、身の回りの道具に始まり、自分の言動や動さまで意識してしまう。

拷問読書【10位】アニマルスピリット【経済】

人間は非合理な行動を取るからこそ、政府が市場原理に介入するべきだという、今までの経済書より一歩進んだ本。行動経済学の理論をふまえて資本主義を語っているのが新しい。

【次点】

正しく決める力【思考】
イノベーションのジレンマ【経済】
30歳からの成長戦略【思考】
ダメな議論【思考】
ロングテール【経済】
希望を捨てる勇気【経済】
天才数学者はこう賭ける【科学】
飛ぶが如く【小説】
さらば財務省!【金融】
なぜビジネス書は間違うのか【経営】
数学で犯罪を解決する【科学】
その数学が戦略を決める【科学】
よその子【教育】
ビルゲイツの面接試験【思考】
貧乏はお金持ち【金融】
マネーロンダリング入門【金融】

【ゆるめの本】

拷問読書【1位】快人エジソン【伝記】

エジソンがどれだけ変人だったか分かる本。新婚初夜に嫁のことを忘れて研究所で一晩過ごしてしまうのは当たり前。ベンチャー企業家エジソンの変態っぷりが堪能でき、夢中で読んでしまう。

拷問読書【2位】大人げない大人になれ【エッセイ】

その瞬間にやりたいことだけをやると嫌でも集中するなど、面白いアイデアが詰まっている。こういう大人になると人生楽しいだろうなと、読んでて楽しくなってくる本。

拷問読書【3位】奇跡のリンゴ【農業】

無農薬でリンゴを栽培するという不可能に挑んだ記録。家族を極貧生活においやり、周囲からは馬鹿にされながらも止めることができない姿は狂気そのもの。

拷問読書【4位】他人と深く関わらずに生きるには【エッセイ】

自由原理主義者でもある著者の人生哲学書。虫取りが好きな著者は、自分が行きたいから虫取りに行き、子供は親と遊んでもらうために虫取りについて行く。

拷問読書【5位】ご冗談でしょう、ファインマンさん【伝記】

普段の生活で遭遇する、ありとあらゆる出来事に興味をいだくファインマン教授。なんにでも興味を抱き、その瞬間を楽しみ尽くすおもしろさを教えてくれる本。

拷問読書【6位】走ることについて語るときに僕の語ること【エッセイ】

マラソンが趣味の小説家、村上春樹のエッセイ。小説家になるまでの経緯、一日の過ごし方など、超早寝早起きである著者の変わった生活様式がおもしろい。

拷問読書【7位】LOVE理論【恋愛】[書評なし]

2009年もっとも笑えた本。恋愛本200冊以上を読んだ恋愛体育教師「水野愛也」先生の笑えてためになる恋愛理論が楽しめる。ちなみに、著者は「夢をかなえるゾウ」、「ウケル技術」「温厚な上司の怒らせ方」の作者。

拷問読書【8位】4‐2‐3‐1―サッカーを戦術から理解する【サッカー】[書評なし]

サッカーのフォーメーション、戦術を監督視点で徹底的に解説する本。この本を読むとサッカー観戦がいっそう楽しくなり、視野角の狭いTV観戦に不満が出てきてしまう。

拷問読書【9位】サルコジ―マーケティングで政治を変えた大統領【政治】

問題発言で有名なサルコジの腹黒さが堪能できる本。モデルと3回も再婚し、贅肉が目立つ写真を掲載した新聞社に圧力をかけて修正させるなど、おもしろエピソードが満載。

拷問読書【10位】怠惰を手に入れる方法【ナマケモノ】[書評なし]

自分を変えようと努力しても無理だった作者がたどり着いた怠惰生活。楽なパジャマ生活、近くにスナック、できるだけカロリーを消費せず動く素晴らしい怠惰生活を紹介するエンターテイメント。著者はピューリッツァー賞も受賞した劇作家。


【書評】ハーバード流交渉術


拷問読書

大学で最も厳しいゼミの課題図書。このゼミの教授はコンサル出身の経済学専門で、授業も鬼のように厳しいけれど質も高いと評判であります。半期の授業だけどテストが5回もまんべんなくあって、学期末の追い込みが通用せず、常に授業を真剣に取り組まないとついていけないらしい。頭のいい授業の進め方だなあと関心しながらも、単位取るのきつそうだなあと思ってました。

自分のゼミとは関係ないけれど、このゼミの課題図書は厳選されてそうなので大阪行きの新幹線の中で読んでみた。だいたい3時間ぐらいで読める。

ただ、この本はひたすら論理的な交渉術を書いているので、実際にこの通りにしても「なんだこいつ、感じ悪い奴だな」と思われて、感情で動く相手に対して交渉決裂!となる可能性も高そうであります。

大手コンサル会社の日本支社社長が書いた「30才からの成長戦略」という本に書いてたことで、「論理思考の切れ味は抜群だけど、それだけでは説得できない。次に感情に訴える方法を極めたがこれだけでも足りない。最後は相手のためになりたいという気持ちを持つことにたどり着いた」と書いてた。この本はタイトルがアレですが、コンサルタントの悩みや苦悩が素直に書かれていて面白かった。

とはいっても、論理的な交渉方法というものは基礎知識として絶対に必要だと思うので、そういう意味でこの本は一度読むと人生全般に役立つかと。別にビジネスマンではなくても、人間関係は交渉の連続であったりするわけなので。

このハーバード流交渉術は相手に知られてはいけないものではなく、むしろ相手もこの本を読んでいたほうが交渉がスムーズにいくと書いてある。なぜかというと、お互いにとって有利な着地点を一緒に探すといった形式を取るかららしい。

内容はひたすら論理的な方式にそった交渉方法。相手を攻撃せず問題点を指摘するとか、議論に違いが出たら客観的事実に基づいて交渉を進めるとか、こういった方法を知っている人にはなじみのある内容かもしれません。

ただ、ハーバード大学の交渉学研究所の人が書いたというブランド力なのか、交渉系の本ではかなり上質な本な気がします。他の本をあまり読んだことないのでわからないけど。。おもしろいのは、交渉術の例示でイスラエルとアメリカなど実際の国際関係の交渉のまつわる例がふんだんに取り入れられているところ。

相手に協力をするとなにかしらの恩恵を将来に返してもらうことが期待されるのが普通。だけど、アメリカがイスラエルに援助すればするほどイスラエルの要求は高まるというジレンマなどが紹介されてておもしろい。

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【WEB記事】新聞のネット進出


「切り込み隊長ブログ」というのをちょくちょく読んでいるのですが、そのブログ主が書いた新聞業界のネット進出に対する記事がすごくおもしろい。(ただし、かなり長い・・・)ネットに読者をとられた新聞業界がネット進出するものの、ビジネスモデルの違いから赤字を垂れ流すだけになっているようです。

一番の問題は、紙母体の新聞業界とネット業界では人件費が違いすぎるということらしい。特に面白いのが、ネット専門ならなんとか黒字化できるから完全に紙での供給を廃止した海外の新聞社の失敗事例。新聞紙を廃止することによって権威がなくなり、結果的にWEB版の購読者が大きく減って大失敗したらしい。

赤字の紙母体から、専業ならなんとか黒字にできるWEBにごっそり移行するという合理的判断を下したつもりが、結果的にWEBの読者も離れてしまうというジレンマが起こったとか。

最近読んだ、「フリー」という本でも書かれていたのですが、グーグルのCEOであるシュミットさんも新聞業界の衰退を心配しているらしい。グーグルはWEBニュースを提供したり、記事を検索出来るサービスを提供しているけれど、良質な記事はもとをたどれば新聞から引用されている。この大本がなくなれば、グーグルも検索すべき良質な記事を失ってしまうという状態。WEB業界最大手でもこのジレンマは意識していながらも、上手い解決策はまだ見つかってないといったところなんですかね。

【追記】

まったく関係ない話なんですが、リンク先の記事を読んでいる時に右側に出てくるエプソンの広告がよくない。動画形式のWEB広告で、記事を読んでいる時に右側でチカチカ画面が切り替わって最悪であります。自動的に動きだすWEB広告はサイト全体に悪影響なのではないかと。


[書評】フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略


拷問読書

最近読んだビジネス本ではダントツに面白かった。ロングテールもかなりよかったし、クリス・アンダーソンの本はいい!ビジネス書にありがちな退屈感が一切ない。経済学とネット文化という自分好みの領域を満たしてくれるのも大きい。

本の内容は、インターネットの普及によって大きく発展した無料ビジネスモデルの徹底的な研究内容。無料の景品から購買行動を誘導する昔ながらの無料を使ったビジネスモデルも詳しく紐解き、ネットの登場によって従来の無料ビジネスモデルが劇的に変換されたことを書いています。

「フリーランチはない!」というのが経済学の常識だったわけですが、ネットの登場によってこの認識は大きく変わる必要があるそうです。現在のネット上における無料ビジネスモデルでは、「完全なフリーランチはもちろんないが、その限界費用は気にならないほど安い!」とのこと。

つまり、今まで無料の製品は有料製品に比べて質が落ちたり、アフターサービスが悪かったり、めんどくさい広告やアンケートなどが付いてきた。しかし、グーグルのGMAILなどに代表される無料ネットサービスは質がいい。むしろ、有料メールサービスより遙かによい。これは、ネットという限界費用を極限まで低くした状態で大量のユーザーにサービスを提供できる状況だからこそできるビジネスモデルとなるらしい。

経済学の観点からすると、サービスの限界費用はいずれ下がっていき、0に近づいていくらしいけど、無料ビジネスモデルは最初からサービス価格が無料となる。こう考えると、経済学の理論も時代や状況の変化によってどんどん変化しないといけないのがよくわかってくる。

ちなみに、経済学の主流派は時代によってどんどん変わっていき、いったいどの理論が正しいのか誰にも分からない。大学の経済史の先生も、「昔はマルクス主義が当たり前だった。教授たちもおおっぴらに間違いを認めないけど、こっそり主張を変えるんだよー」と言ってた。

今の主流派もそのうち否定されるのだったらむなしくなるわ!と思ったりもしたけれど、ネットの登場だったり投資銀行のエージェンシー問題みたいに、未来の状況はどんどん変わるからそれに応じて理論も変化するのは当然なのだなと納得。

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【音楽】ダイアンバーチのLIVEに行ってきた


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先日、渋谷クアトロまでダイアンバーチを一人で見に行ってきた。ピアノ弾きながら歌うシンガーソングライターで、キャロルキングとよく比べられる。

渋谷クアトロは最大でも500人ぐらいの小さなライブハウスで、当日は6時半開場、7時半スタート。全席スタンディング。7時10分ぐらいに行っても前のほうはそこまで詰まってなかったので、左側の前から3人ぐらいのところに陣取りました。オープニングでは、マットカーニーとかいう男のシンガーソングライターがギター一本で5曲ぐらい弾いていた。この人の一曲目はかなりよくて、「おお!」と興奮したのだけど、その後の4曲ぐらいは同じ曲に聞こえる感じでちょいとばかし単調さを感じてしまう。

30分ぐらいしてダイアンバーチ登場。左側に陣取ったので、ギターのイケメンが真っ正面。ダイアンバーチも3メートルぐらいの距離で、なおかつこちら側に向いて歌うことが多いので、目がめちゃくちゃ合う。

ダイアンバーチはひたすらケバいかっこう。なんか茶髪だった。昔から、バンパイアとかゴスロリっぽい服装が好きで、保守的な母親と宗教家の親父に隠れてそういう格好をしていたらしい。

歌声もかなり太い声で、めちゃくちゃ上手かった。バックミュージシャンもギター、ドラム、ベースに加えて、トランペットまでいて、みんなすごくいい。特にトランペットの人はコーラスでもええ声を披露してました。

とまあ、何の文句もない出来だったんですが、どうも震えるものがない。ちょっと前に同じクアトロで聞いたエミ・マイヤーのように、聴きながらトリップしちゃうぐらいの感じがまったくない。どうも満足するものがなかったわけです。チケットは6000円もしたけど、途中で帰って違うことをしようかなと本気で考えてしまった。

なんでかなあと帰宅途中に考えてみました。

Ⅰスタンディングなので疲れた(エミ・マイヤーの時はパイプ椅子)

Ⅱもともとそこまで好きじゃなかった

Ⅲ位置が左前方で、いい音で聞けなかった。

Ⅰの原因が一番でかいかなと。Ⅱはエミ・マイヤーの時も最初はそこまで好きじゃなかった。(ライブが死ぬほどよくて、本人もPVより3倍ぐらいかわいかった。)Ⅲも結構でかい気がする。やっぱり、中央で聞かないといかんなと反省。

でも、2年前ぐらいのロックフェスタでCOCCOを近めで見た時は、すごく感動した記憶があります。まあ、その時もスタンディングはもう嫌だと重々思ったわけなんですが。やっぱり、ビルボード東京みたいに、座ってゆっくり聞けるところがベストかもしれない。

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[書評】大作家“ろくでなし”列伝


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息抜きの読書として、気軽に読めて面白い。世間ですごいと言われている人は極端に変な人が多いのですが、教科書に出てくるような大作家の変人ぶりを紹介する本。ほとんどの登場人物は、変人というよりも人格破綻者扱いされていて楽しい。

ひたすらギャンブル中毒のドストエフスキーとか、女に対してひどい扱いをする川端康成のエピソードなど、有名作家たちの最低っぷりを楽しめる。こういうのを読んでいると、なにかを成し遂げた人には、周りに迷惑かけまくっても自分の好きなことを選択するという極端な集中力を持つ人が多いなあとあらためて思います。

こういうエピソードでは、新婚初夜に結婚したのをすっかり忘れて、研究室で研究に夢中になってしまったエジソンが一番印象に残っています。スティーブジョブスも本気でヤバすぎる性格しているし。

とはいえ、ここまで最低人間にならなくても一義を成し遂げた人はたくさんいるので、これに影響されてますますわがままにならないようにしようと気をつけるしだいであります。

ちなみに、この本の序盤の文章がかなりいい。「まずはじめに言っておくが、圧倒的な才能の差は間違いなく存在する。努力ではとうてい埋められない壁というものは文学の世界でこそ顕著に表れる」といったようなことを、しょっぱなから断言してて気持ちよい。さらにその後、文豪たちの変態っぷりを見せつけられると、これはかないませんわとなるわけです。

以下の2冊は、エジソンやジョブスがいかに人格破綻者かということがよくわかる、非常にさわやかな本です。かなり面白い。

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【書評】100万回生きたねこ


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正直、「絵本好きなんですよ僕」とか言う人がいると、大人になって絵本好きアピールとはなにか違う狙いがあるに違いないと勘ぐっていたわけです。間違っていました。いい絵本は大人も子供も楽しめるし、むしろ大人になって読み返して初めてよさがわかるんだなとしみじみ反省であります。

この「100万回生きたねこ」は何回死んでも死なないネコの話。王様のネコになったり、ドロボウのネコになったりと、いろいろな人に飼われては死んでまた生き返る。何回も生き返るからなのか、まったく飼い主にも興味もなく(むしろ嫌い)、とにかく自分だけが好きなネコです。

そんな無敵状態で世の中に冷めた目線を持つネコも、初めて好きになる白いネコができる。自分だけが大好きだった不死身のネコも、初めて自分の子供が好きになり、白いネコが死んだときは初めて大泣きする。その後、不死身のネコはどうするか・・。といった話。

命は有限であるからこそ人生は面白いとか、自分大好き人間が初めて他人を本気で好きになる過程とか、いろいろな要素がちりばめられていて、大人になってからのほうが100万倍楽しめる。特に自分の場合は他の人よりもはるかに自分大好き人間で、一人でも結構楽しく生きていけるんじゃないかと常々思っている人格破綻者なので、ぐっとくるものがありました。

そういえば、実家でも「ハナちゃん」というネコを飼っていたけれど、いつも冷めた目つきで見られていた記憶がある。もしかしたらハナちゃんも不死身だったのかもしれない。

大人も楽しめるアニメといえば、ピクサーの映画が大好きなんですが、「カールおじさんの空飛ぶ家」を今度見に行こうと思う。


【書評】ダメな議論


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最近読んだ本の中では一番勉強になった。ちまたに溢れているダメな議論をたくさん提示し、そのどこがダメかをひたすら指摘する本。ただし、よい議論のお手本はない。ひたすらダメな例を挙げてそれを避けるようにすれば、自然と議論の質が上がるだろうというスタンス。

例えば、著者が指摘するダメな議論の一つに反証不可能な言説というのがあります。「ゆとり教育」とか「生きる力」とか、気持ちよく聞こえる言葉を使って自説を主張していくと、立派なことを言っているようには聞こえる。でも、「生きる力を育てる教育が必要である」とか言われても、言葉の定義がはっきりしていないため、議論にならないからっぽの言説となる。

この本を読むと、間違いなく普段読む記事やえらい人たちの主張の見方が変わります。なんでも批判的に読んだり聞いたりして、本当に言われていることが正しいのかを自分の頭で考えることが大切だとはよく言われるけれど、本書ではそうするための具体的なアプローチが分かりやすく書かれています。

とまあ、この本の書いていることはもっともなんですが、世の中にはどうしても定義づけができない、もしくはしないほうがよいようなこともあったりする。例えば、GOOGLEがアプリケーションソフトを作るときに大切にしている「それってCOOLだろうか?」っていう考え方も、きちんとCOOLとはどういうものかという定義づけがされてしまえば、突然つまらないルールになりそう。

とはいいつつも、溢れまくっている情報に対して、簡単に納得しないための考え方を学べるよい本でした。これと似ている本で、「社会調査のウソ」という本も最近読んだ。こっちは、人間がだまされやすい統計データという数字に騙されないようにする本。ダメな議論とセットで読むとよい感じ。

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【テレビ】NHK坂の上の雲


NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」がついに始まった。司馬遼太郎の最高傑作といわれる原作を今年始めに読み終わってから、まだかまだかと待ち望んでたわけであります。

NHK大河ドラマの制作費が一話で6000万かかるらしいが、この「坂の上の雲」は一話で3億はかけると聞いていた。全13話を3年かけて放映し、NHKドラマの中でも超がつくほどの力の入れよう。NHKの不祥事が騒がれる前は、総額200億円かけるとぶちまけていた。

実際はかなり制作費が縮小されてしまったらしいけど、それでも大河ドラマを超えるNHK超大作ドラマなのは間違いない。NHKは「ニホンの教養」とか、「その時歴史が動いた」とか良質なTV番組が多いのでマジで頑張ってほしいです。(受信料は払っていないけど。)

さて、一話をとりあえず見た感想なのですが、期待通りにいい!坂の上の雲は日露戦争で活躍した秋山兄弟が中心となる物語なのですが、今回はこの兄弟の幼少の頃の話。

この兄弟の家は相当貧乏で、弟の秋山真之が生まれてすぐ、両親は生活苦から寺へ出そうかと言ったが、「将来自分が豆腐ほど厚い金を稼ぐから、弟を寺へやらないでくれ」と兄貴の好古が懇願する。(相当気性の荒い男に育つ弟の真之も、大人になっても兄貴には頭が上がらない)

もうしょっぱなのこの場面で涙ちょちょ切れるほど感動なわけです。この兄弟は貧乏ながらとにかく学問がしたいという熱い思いがあり、兄貴は軍隊に入ればタダで学校に行けると騎兵隊に入る。東京に行って勉強したいと思いながら金がなくてあきらめていた弟の真之の面倒まで見るという最高の兄貴。(その分猛烈にスパルタではあるが)

時折挿入される当時の白黒写真や映像もいい。なにより、配役がぴったり。秋山好古役に阿部寛というのがこれ以上にない人選じゃないかと。映像化してくれてありがとうとTVの前でお辞儀です。小説で読んで想像していた風景が映像化しているのも興奮する。久々に続きが待ち遠しいかぎり。


【書評】大人げない大人になれ


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この本はかなり面白かった。成毛さんの本は3冊目なんですが、間違いなく一番面白い。元は成毛ブログの書評が面白くて読んでいたのですが、著者である「本は十冊同時に読め」の冗談のようなぶっ飛んだ内容に軽くファンになったわけであります。

ちょっと前に読んだ「成毛式マーケティング」はあまり新鮮さがなく正直つまらなかったけど、本書「大人げない大人になれ」は一気に読まされた。2時間が一瞬でした。

この本でいいのが、最初に開いたページの著者の写真。机にまわりにプラモデルやら、鉄道模型やら、絵の具セットやら楽しそうなおもちゃがたくさん置いてある。社長なのに、FFオンラインにハマりすぎ、2年で6000時間やっていたというエピソードがあってびっくりする。会社にこないから社員がゲーム空間に入ってきて呼び出しを試みたとか。スクエアエニックスの社外取締役もかねているから、市場調査でもあるとか後付けで軽く言い訳してるのも笑えました。

「我慢なんてしなくていい」とか「キャリアプランは持つな」とか相変わらず天の邪鬼思考なことをつらつらと書いていて、そのどれもがなかなか説得力のある内容。ただ、そのへんはネット上のインタビューで以前から言っていたので特に新しい内容でもなかった。

この本で一番面白かったのが、時間の使い方の項目です。「一点集中浮気型」と書かれたその方法はまさに子供みたいな時間の使い方。興味のあることに集中し、途中で別の事に浮気しそうになったらそのままそっちに集中する。簡単にいうと、本能のままに時間を使えっていう衝撃の内容。

よくライフハックとかで、「1つのタスクに邪念を振り払って集中し、他の事が入ってきたらメモして後からやる」っていう方法があります。こういう定番のハウツーと対局をなす方法だけど、その瞬間その瞬間に一番興味あることに打ち込む浮気型は確かに自然と集中モードに入ってそう。夏休みの宿題を直前まで遅らせるのも集中を高めるのによいとか書いている。まあ、そうだけど、それで間に合わなくなった場合はどうするんだとツッコミを入れてはいけない本です。

最近読んだホリエモンの夢をかなえる「打ち出の小槌」というちょっと手にとるのが恥ずかしい名前の本にもこんな事が書いてた。「一日は24時間しかないので、与えられた時間に集中するのが重要。ちなみに集中するには休息が重要。」まあ、そうだな、でも集中するのが難しいんですよねと普通は考えるけれど、それに対する簡単な答えみたいな内容が「大人げない~」に書かれていた。

「いい時間の使い方をするには、時間の使い方それ自体を考えても意味はない。何に時間を使うか、その振り向ける先を第一に考えるべき。」とあり、ようは自分が熱中することだけをすれば自然と濃密な時間の使い方になるという単純な理屈。

ちなみに、自分の部屋は片付きすぎるほど片付いていて、無駄なものがないのですが、もうちょっと遊べるものをちりばめるべきだなあと思ってきた。Iphoneのアプリも最低限必要なものだけ入れているし。もうちょっと無駄なアプリを入れるべきだと反省し、さっそく「神パンチラ」アプリを購入しました。これはかなり面白い。さっそく来週見せびらかそうと思う。